生理の量が多いけど薬は飲みたくない方へ
普段の生理の量が多くて、貧血もあって、ピルやディナゲストを勧められているけど、毎日飲むのは大変だし、、、という方に向けて、今回は書いてみたいと思います。
生理の量の多さには、原因がいろいろあります。
子宮筋腫が子宮腺筋症が原因の場合、手術をして筋腫や子宮そのものを取ってしまうのも一つの選択肢です。
また、ピルやディナゲストなどの内服薬を使って、出血の量を減らすのも一つの選択肢です。
今回は、それとは別の方法で
MEA
という方法について書いてみたいと思います。
MEAとは
MEAとは、
Microwave
Endometrial
Ablation
の略で、日本語では
マイクロ波子宮内膜アブレーション
と言います。
マイクロ波というのは、簡単に言えば「電子レンジ」の理屈で熱を発生する仕組みです。
子宮の中に太さ1㎝程の棒を入れ、その先端からマイクロ波によって熱を発生し、棒の近くの子宮内膜組織を焼いてしまおう、という治療法です。
こうすることで、焼かれた子宮内膜からは出血することがなくなり、生理の量が減る、という仕組みになります。
* MEAができる人は?
上で書いたように、子宮内膜を焼いてしまうので、
妊娠を考えている人は受けられません。
子宮内膜は妊娠にとって非常に大事な部分ですので、これから妊娠したい人は、子宮内膜を焼くわけにはいかないのです。
次に、子宮内膜の部分に癌がないこと。
内膜を焼いてしまうので、そこに癌があった場合は、診断がつけられなくなってしまうので、MEAをする前には、子宮体がん検査をして、癌がないことを確認する必要があります。
最後に、子宮の大きさ的に子宮内膜を焼けるかどうかの確認が必要になります。
子宮腺筋症などで、子宮が非常に大きい方の場合には、MEAの棒が全体に届かなくて、一部の内膜しか焼けずに効果が薄くなってしまいます。
また、逆に子宮の壁が薄かったりすると、内膜を焼いた熱が子宮の外側に届いてしまって、子宮の周りにある腸にまでダメージが広がるので、ある程度の子宮の壁の厚さが必要になってきます。
これらの条件を満たしている方は、MEAも選択肢の一つになってきます。
子宮そのものを摘出したり、筋腫を取ったりすると、1週間近い入院期間が必要になることが多いのですが、MEAであれば、3日前後の入院期間で済むことが多いのも魅力ですね。
術後は、お腹の痛みが少しあったり、水っぽいおりものが数週間続くことはあります。
また、内膜を焼いたのに、ある程度組織が再生してしまって、再び出血の量が増えてきてしまうこともあります。
私自身は、腺筋症で生理の量がすごく多くて、ピルやディナゲストの治療がうまくいかない患者さんにMEAをしたことがあります。
その方は、それまでは貧血の内服薬で何とかなっていたのですが、ある時の生理でものすごく出血が増えてしまって、外来にフラフラしながら受診されました。
貧血の数字は
3
まで下がっていました。
ちなみに正常であれば、10以上。。。
3だと、正直死んでてもおかしくない数字です。
おそらく、徐々に数字が下がってきていたので、何とか体が耐えていたのでしょう。
そこで、緊急輸血をしたのですが、出血が収まる様子もなく、緊急でMEAをすることになりました。
物理的に内膜を焼いてくるので、効果は抜群。
次の日から全く出血することもなく、元気になって退院されました。
生理の量が多いけれど、薬は飲みたくない、もしくは、副作用などで薬が飲めない方、
そして、子宮を取ることにも抵抗がある方には、
MEA
という方法は、一つの選択肢になると思います。
ちなみに、このMEAという治療法ですが、どこの病院でも出来る訳ではありません。
私が以前働いていた病院は、県内で1か所しかやっていなかったので、県内はもとより、県外からも紹介されてくることがありました。
当院の近くですと、東邦大学大森病院にてMEAをやっていて、ご紹介できますので、気になる方はご相談にいらしてください。