平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

ディナゲストの勉強会にでてきました


生理痛に対する薬として、ピルやミレーナがあるのですが、そういったものが合わない方には


ディナゲスト

という飲み薬があります。



これは、それほど深刻な副作用もないので、比較的飲んでもらいやすいかと思っているのですが、どうしても値段がネックでした。

保険が使えても1か月に9000円近いのです。


そのディナゲストに後発品、ジェネリックが出ることになりました。

そのおかげで、1か月の負担が半分くらいになって、ピルの1か月の費用2000円~3000円にかなり近づくことになりました。



ということで、先日ディナゲストの勉強会に出てきました。


個人的には、10年近く前にお世話になった先生方に久しぶりにお会いすることができ、とても懐かしかったのと、またこうして当時お世話になった先生方の近くで診療できることが、とても心強く思えました。



ディナゲストの説明についてですが、やはり


子宮腺筋症


は難しい存在だな、ということ。


子宮腺筋症とは子宮の筋肉が分厚くなってしまい、ヒドイ生理痛の原因になったり、生理の量が多くなったり、人によっては不妊や流産の原因にもなったりするものです。


ただ、一口に「子宮腺筋症」と言っても、そのレベルは様々で、ほとんど影響が出ないものから、症状自体かなり重くなるものまで様々で、クリアに線引きができない部分が多いのです。


ディナゲスト自体も子宮腺筋症には効きます。痛みがかなり楽になることも多いですし、生理の量が減ることも多いです。ただ、子宮腺筋症の方がディナゲストを飲むと大出血を起こしてしまうリスクがあります。


先日の勉強会でも、相当な量の輸血をして何とか救命できた患者さんの経過を見せてもらいましたし、私自身も数年前にディナゲストで大出血をおこして危険な状態になった患者さんを診たことがあります。


その点から、生理痛や生理の多さに対しては、ピルやミレーナを使うことが多く、子宮腺筋症が無い場合には、ディナゲストが一番いい薬なのではないかな、と思っています。



また、GnRHアナログと言って、月に1度注射を打つことで仮の閉経状態に持ち込む薬もあります。

もし、ディナゲストの大出血が不安な時には、このGnRHアナログという注射を半年、ディナゲストを3カ月~半年、と交互に使っていく方法を使うこともあります。


この辺りは、それぞれの患者さんの状態に応じて使い分けていくので、気になることがあれば相談に来ていただければ、と思います。



最後のまとめとして、それぞれの薬の特徴を書いておきたいと思います。


ピルは、比較的安くて、避妊効果もあり、使いやすいのですが、血栓症という副作用がどうしてもついて回ります。血栓症のリスクさえなければ、とてもいい薬だと思います。


ミレーナは、子宮の中に直接3㎝くらいの棒を入れるので、どうしても体の中に異物を入れることに抵抗が強いと、なかなか選択肢には上がりにくいです。

あと、下から出産したことがなければ、ミレーナを入れる時に痛みが強く出ることがあるのと、ミレーナと一緒に雑菌が入ってしまうと、腹痛が強くなってしまうことが稀にあります。


ディナゲストの最大のデメリットは費用面と、子宮腺筋症があると大出血をしてしまうリスクです。その代わり、ピルのような血栓症のリスクがないところがメリットですね。


GnRHアナログという注射に関しては、仮の閉経状態に持ち込むので、更年期症状が出る人がいることと、骨粗しょう症が進む可能性を考えて、半年が限度になっているのが特徴です。


これらの選択肢を適宜相談しながら使っていく形になりますので、参考にしてみてください。