平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

新院長就任のお知らせ

先日、分院の件を話させて頂きました。

 

https://obgyne.hatenablog.com/entry/2019/03/06/204027

 

ということで、中央区の東日本橋駅近くに分院を出すことに決定いたしました。

 

まだ都庁の認可が下りないので、具体的な日時は不明なのですが、今年の10月か11月頃になると思います。

 

それにあたり、平和島レディースクリニックに新院長をお迎えすることとなりました。

 

小池和範 医師です。

 

もともと多摩総合医療センターで医長をされていた先生で、今度の7月からの勤務となります。

 

よろしくお願いします。

 

 

 

ちなみに、先日小池先生が指導していた医師が、私の研修医時代の指導医だったことがわかり、世間は狭いなと話した所です。

 

しかも、その場所が東京ではなくて、長野県なのです。

 

偶然とはいえ、大変運命的なものを感じました。

 

また、患者さんに対する考え方や接し方も、私と同じような感じで、大変温厚な医師ですので、お気軽にご相談に来ていただければ、と思います。

 

ちなみに、私自身は分院準備も含めて、7月後半からしばらく夏休みをいただき、8月末から分院開院までは、平和島レディースクリニックにて診療しています。

 

分院開院以降は平和島レディースクリニックの診察は小池先生に、分院は私の診察となりますが、カルテは共有いたしますので、受診しやすい方に来ていただければ、と思います。

 

よろしくお願いします。

生活リズムと子供の虫歯について

今回は産婦人科のお話から少し離れてしまいますが、子供の虫歯と生活リズムについて興味深い発表があったので紹介したいと思います。

その発表がこちら。

www.hokudai.ac.jp


北海道大学が16歳以下の子供の虫歯の本数と就寝時間や夕食時間の関係を調査しました。

調査対象になったのは、140名の1~16歳の子供たちです。平均年齢は約7歳で、男児77名、女児63名でした。

まず、2~7歳の38名で生活習慣と虫歯の本数の関係を調べたところ、就寝時刻・夕食時刻と間食回数が虫歯本数の多さに関係していました。

また、11~16歳の33名では、夕食時刻のばらつきが虫歯本数の多さに関係していました。

つまり年少児ほど、夜型の生活習慣が虫歯を増やす傾向があると言える結果となりました。


これは、虫歯菌と言われるミュータンス連鎖球菌が糖質を摂取して産生する酸によって虫歯が起こること、夜間は唾液が減少して防御機構が弱くなるため、細菌が増えて虫歯発生のリスクが高まることが原因と考えられます。


私自身も、子供のころは必ず夜6時に晩御飯を食べて、20時か21時には眠る生活をしていたため、ほとんど虫歯になることはなかったので、実感として生活習慣と虫歯は関係あるのかな、と思います。


以上、子供の生活習慣と虫歯の関係に関する論文の紹介でした。

内膜症手術の後の治療について

子宮内膜症で卵巣が腫れた場合は、チョコレート嚢腫と言ったり、内膜症性嚢胞と言ったりします。

 

生理痛が強かったり、卵巣の腫れが大きい場合には、手術して腫れている部分を取るのですが、その後の治療を何もしていない方が意外と多いのです。

 

そこで、今回は内膜症の手術をした後の治療についてまとめてみたいと思います。

 

まず、内膜症手術の後になぜ治療が必要かと言うと、それは「再発」しやすいからです。

 

内膜症そのものが体質的な部分があるという事、そして手術して取ったとしても顕微鏡レベルでの小さな内膜症までは取る事が出来ず、残った内膜症が年単位で大きくなってしまう事が考えられます。

 

そのため、手術をしたとしても、その後に継続した治療をしなければ、内膜症が再発する可能性が高くなってしまいます。

 

今回ご紹介するのは、こちらの論文。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29992672/

 

こちらの論文では、2009年から2015年にかけて、内膜症の治療を受けた146人のデータを検討しています。

 

手術の後、何も継続した治療をしなかった人が83人

 

低用量ピルを継続した人が32人

 

ジェノゲスト(商品名はディナゲスト)を継続した人が27人

 

でした。そのうち、16人が内膜症を再発したのですが、12人は内膜症術後に何も治療を受けなかった人たちでした。

 

低用量ピルの群からは3人、ジェノゲストの群からは1人が再発しました。

 

つまり、無治療群での再発率は、12/83=14%

低用量ピルでの再発率は、3/32=9%

ジェノゲストでの再発率は、1/27=4%

と言う結果になりました。

 

再発した人のうち11人は、再発と診断がついた直後からジェノゲストによる治療を始めました。

 

そのうち7人は2年間治療を継続し、4人は再発した内膜症が完全に治りました。

 

 

以上のことから、内膜症というのは手術をしたとしても、無治療で過ごすと再発してしまう事があり、その再発率を下げるためには、手術後も低用量ピルやジェノゲストでの継続治療が必要、ということになります。

 

低用量ピルやジェノゲストを内服している間は妊娠の確率がほぼゼロになってしまうため、妊娠を希望している方は、出来るだけ早く妊娠する事が内膜症の再発予防にもなります。

 

生理痛自体は痛み止めや漢方でもコントロールできますが、内膜症の再発予防効果はないため、手術後の再発に関しては、婦人科でしっかり相談するようにしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

抗てんかん薬を飲んでいる女性と妊娠について

てんかんに対する薬を内服している方が妊娠に向けて注意する点と、妊娠した時の注意点について、まとめてみたいと思います。

出典は、日本神経学会の「てんかん診療ガイドライン 2018」です。

てんかん診療ガイドライン2018|日本神経学会治療ガイドライン|ガイドライン|日本神経学会


まず、妊娠・出産時に注意する点としては

  • 1種類のみ内服することが原則
  • 必要最低限の投与量
  • できるだけ奇形を引き起こす確率の低いものを選ぶ

ということになります。


妊娠を考える時に注意すること

妊娠中に抗てんかん薬を内服することで、赤ちゃんの奇形の確率があがるのですが、それは薬の種類によって確率が異なり、1種類よりも複数の薬を一緒に服用することで、リスクが高くなります。

薬の種類で言うと、レべチラセタム、ラモトリギンを1種類で服用する場合に、奇形の確率は低くなります。

カルバマゼピンも比較的リスクが低く、フェニトイン、フェノバルビタール、トピラマートはややリスクが高く、バルプロ酸は他の薬よりもリスクが高くなります。

世界各国での報告によると、各薬剤を内服したことによる赤ちゃんの大奇形の発生確率は

レベチラセタム 0.7~2.4%

ラモトリギン 1.9~4.6%

カルバマゼピン 2.6~5.6%

フェニトイン 2.4~6.7%

フェノバルビタール 5.5~7.4%

トピラマート 2.4~7.7%

バルプロ酸 4.7~13.8%

となっています。


また、複数の薬を組み合わせることでリスクがあがることもわかっており、バルプロ酸+カルバマゼピン、フェニトイン+プリミドン+フェノバルビタールといった組み合わせがリスクが高くなります。

その他に、バルプロ酸は量が多くなると、小児のIQの低下や自閉症のリスクにつながります。特に1日に1000㎎以上の量だと明らかにIQが低下するため、注意が必要です。

このようにバルプロ酸に関しては、奇形のリスクに加えて、認知機能や行動障害のリスクがあるため、可能な限り、1日600㎎以下にすることや、徐放剤といった形状での内服が望まれます。


葉酸について

一部の抗てんかん薬は血液中の葉酸濃度を低下させることがわかっています。葉酸が不足すると、赤ちゃんに神経管閉鎖障害という奇形が生じるリスクが出てきます。特にバルプロ酸やカルバマゼピンを内服している方は、神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、1日あたり0.4~0.6㎎の葉酸を摂取することがおススメです。


また、葉酸は抗てんかん薬で児のIQが低下するのを軽くするとも言われているので、しっかりと葉酸サプリを摂取するようにしましょう。


てんかん合併妊娠では合併症がふえるのでしょうか?

発作を起こして転倒したり、頭蓋内出血を起こしたり、脳卒中発作を起こすこともありますが、その確率は非常に低いと言われています。

そのため、てんかん合併妊娠であっても90%以上は通常の出産が可能です。


てんかん患者の流産や早産、高血圧や産後出血、帝王切開などの比率は若干高くなりますが、集中治療が必要になるほと重症化する確率は、てんかんが無い場合と比べて同じですので、それほど心配する必要もないでしょう。


以上、てんかん合併妊娠について説明しました。


内服薬をやめる必要はありませんが、妊娠を考える時には、薬の種類を検討した方がいい場合もあるため、妊娠前から担当の先生としっかり相談するようにしてくださいね。

生理前の調子の悪さについて

 生理前になると、感情的になったり、気分が沈んだり、さまざまな精神症状が出ることがあります。

 

また、便秘がちになったり、逆に下痢になったり、頭痛が起きやすくなったり。そう言った身体症状が出ることもあります。

 

これらをまとめて

 

月経前症候群

 

PMS

 

と言います。

 

生理前になると調子が悪くなり、生理が始まると何となく改善していくのが特徴で、生理のある年代の女性の半数近くが経験すると言われています。

 

 

原因として、さまざまな説があるのですが、1つの説として、排卵後に出てくる黄体ホルモンの影響があります。

 

そのため、排卵を抑えるピルを飲むことで症状が軽くなる事が多く、婦人科ではよくピルを処方しています。

 

また、漢方によって症状が軽くなることも多いので、そちらを使うこともあります。

 

その他に、ディナゲストという薬もあります。

これもピルと同様に生理痛に対して使う薬なのですが、排卵を抑える効果もあり、PMSが改善した、という論文もあります。

 

(ピルは自費で処方できますが、ディナゲストは「子宮内膜症」と「子宮腺筋症による疼痛」に対して保険適応されている薬です。自費で買うことになれば、月に1万円近くします、、、)

 

市販薬で言えば、プレフェミンというハーブを使ったお薬が効く人もいますし、カルシウムやビタミンDといったサプリが効いたという論文もあります。

 

今回は、その中でもカルシウムやビタミンDがPMSに効くという論文を紹介したいと思います。

 

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6422848/

 

こちらの論文では、PMSの治療に関する28の論文で、8576人の女性に関して調べています。

 

それらの論文のいくつかを見てみると、

 

・1週間に50000IUという量のビタミンDを摂取すると、PMSや生理痛が改善した

 

・500mgのカルシウムと200mgのビタミンDを摂取すると、PMSの症状が軽くなった

 

・カルシウムやビタミンDが豊富に含まれる食事を摂る事でPMSの症状が軽くなる

 

・1000mgのカルシウムと400IUのビタミンEを摂取することでPMSの症状が軽くなる

 

・カルシウムとビタミンB1のサプリでPMSの症状が改善する

 

・500mgのカルシウム摂取でPMSの症状が改善する

 

以上のように様々なサプリによってPMSの症状が改善する可能性が示されています。

 

中でも、カルシウムやビタミンDによる改善の報告が多く、PMSの症状で悩まれている方は、一度試されてはどうでしょうか。