平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

ミレーナに関する質問についてお答えします。

先日、私が書いたミレーナの記事に対して

読者の方から質問をいただいたので、そちらに

お答えしたいと思います。






・子宮頸がんとの関連性はありますか?


子宮頸がんはHPVというウイルスが原因で

あり、ミレーナは子宮の奥に入れる

ホルモン剤をしみ込ませた棒ですので、

関連性はないと思われます。


確かにミレーナを入れることで頸管粘液が

変化しますが、粘液がHPVというウイルスに

影響を与えるとは考えにくいです。



現状では、ミレーナと子宮頸癌の関連性を

示した論文もありませんので、ひとまず

安心してもらっていいのではないでしょうか。


子宮頸がん検診への影響も考えなくて

いいと思います。



・ミレーナと子宮体がんについて


ミレーナを入れると、しばらくは不正出血が

続きます。それはホルモン剤の影響で

どうしても出てしまう副作用です。


そのため、子宮体がんの初期症状としての

不正出血なのか、ミレーナの副作用による

不正出血なのか、見分けがつきにくくなる

ことはあります。


ただ、ミレーナを入れて数カ月もすれば

不正出血は減ってくるので、その点で

見分けるのも一つの手です。



子宮体がんの検査では、子宮内膜の

細胞を取るのですが、ミレーナが子宮

内膜の部分にあると、物理的に細胞が

取りにくくなる、という点はあるでしょう。


多くの場合は、子宮体がんだと子宮内膜が

分厚くなるので、それは超音波である程度

診断することが可能です。


ミレーナを入れた後、しばらくは不正出血が

続きますが、それが落ち着いてきた後に

再度不正出血が出始めるようであれば

詳しく調べる、という方針でいいと

思います。


・ミレーナと性交後の出血について


ミレーナと性交後の出血との関連は

ないでしょう。ミレーナ自体は子宮の

奥の方に入っていますし、子宮の出口

部分からは、ミレーナを取り出す時の

為の柔らかい糸が出ているだけですから、

性交時の出血には影響が出ないと

思われます。



以上、ご質問に対しての回答でした。


普段の外来でも、できるだけ疑問には

お答えしたいと思っていますが、なかなか

いざ診察となると、質問が出てこない、って

ことも多いと思いますので、また何か

ありましたら、質問してもらえれば

と思います。