ダイエットと生理の関係
ダイエットに限らず、ストレスや体調を崩すだけで生理が不順になった経験というのは誰にもあるのではないでしょうか。
この産婦人科医という仕事をしていると、生理が順調に来ている、というのがいかに不安定なものであるのか、というのを思い知らされます。
今までずっと順調に来てたのに、去年くらいから生理不順になっちゃって
という方がよくいらっしゃいますが、不順になり始めた時期に何かストレスとか生活環境の変化がなかったか聞いてみると、思い当たることのある方が結構多いんです。
子供の受験がありました・・・
職場の部署が変わってストレスが・・・
受験のことで・・・
などなど。
主人のことで少し・・・
と言われた時には、あぁ浮気か、という妄想が止まらなくなってしまったので、深く追及はしませんでしたが。
そんな訳で、すぐ不順になってしまう生理なんですが、ダイエットでも生理不順になってしまうんです。
多少やせる程度であれば大丈夫なんですが、やはり限度っていうものがあります。
体重減少性無月経
という病名があるくらい、ダイエットと生理は密接に関係しています。
中には生理が来なくなって、出血のわずらわしさも無くなったし、生理痛もないし、便利!って思っている方もいるかもしれません。
しかし、生理が来なくなることはとってもリスクが高いんです。
まずは、妊娠に関して。
もちろん今すぐの妊娠を考えてない方や、将来的にも妊娠はあまり・・・という方もいるかもしれません。
けれど、体重減少性無月経があまり続いてしまうと、卵巣や子宮がその状態に慣れてしまって、いざ妊娠したくなった時に、お薬を使っても、なかなか卵巣機能が戻らないことがあります。
ですので、やはり将来的な妊娠を考えている方は、しっかりと生理がきてないとダメなんですね。
次に、骨粗しょう症に関して。
そんなのお婆ちゃんになってからの話でしょ、って言われるかもしれませんが、生理がこないっていうことは、体にとっては
閉経
と同じような状態なんです。無月経が続くと、骨密度が低下していって骨折しやすくなります。
まだ20代、30代のうちは大丈夫でしょう。けれど、40代、50代になった時、もともと骨密度が低かったせいで、あっという間に骨粗しょう症が進行して、簡単にポキッと折れちゃうかも!!
骨折なんて手術すればいいでしょって言われるかもしれませんが、骨粗しょう症からくる骨折により、寝たきりの時間が長くなったり、生活の質が落ちてしまうことは明らかで、寿命にすら影響すると言われています。
なので、ずっと将来のことを考えると、骨密度に関しても気を付けておきたいですよね。
このあたりのことは、トップレベルで活躍しているアスリートの方にも関連してくることなので、またの機会に詳しく説明したいと思います。
最後に無月経のリスクについて説明しておきたいのが、子宮体がんについて。
生理というのは、子宮の内側にある子宮内膜という部分が剥がれ落ちることで出血します。生理がこないということは、その子宮内膜がいつまでたってもリフレッシュされない、ということ。
子宮体癌のごくごく初期の組織というのは、生理として外に流し出される可能性があるんですが、生理が来ないということは、そういった子宮体癌をリセットするよなチャンスを逃していることになるわけです。
もちろん、3カ月や4ヶ月程度の短い間だけ生理がこないからと言って、すぐに癌に直結するわけではありませんが、年単位で生理が来ない、なんて事態は避けたいですよね。
それから、以前も書きましたが、無月経で心配なのは妊娠してないか、ということ。
正常妊娠ならまだしも、子宮外妊娠に気付かないまま時間が過ぎる、というのはとても怖いことだというのは覚えておいてくださいね。