平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

分院を出そうかと思っています

患者さんが増えてきて、一人では手が足りなくなったので、他の先生にもお手伝いに来てもらうようになりました。

 

そして、他の先生が診察をしているのを見て感じたのは、自分が「場」を提供できている事のやりがいです。

 

自分一人で診察をするだけだと、どうしても診れる患者さんには限りが出てきてしまいます。

 

でも、他の先生にも協力してもらう事で、「自分一人」の何倍もの患者さんに貢献する事ができる。これは、本当に素晴らしいことだと思います。

 

例えば、大学病院で研究に携わっていたら、その研究の恩恵を受ける何千人、何万人の方の役に立つ事ができます。

 

例えば、総合病院で研修医の指導に当たっていれば、その研修医が成長する事で、さらに多くの患者さんに貢献する事ができます。

 

同じように、開業した私にとっては、より多くの診療の場を作ることが、一つの「貢献」の方法だと思います。

 

 

また、総合病院だと、どうしても外来や手術に追われてしまって、忙しい外来になりがちなのですが、忙しさに追われる事なく、患者さんの話をしっかり聞ける外来をやりたいという産婦人科医のためにも、そういう場所を作る事で貢献できると思うのです。

 

 

私ももう40歳になりますので、自分が生きた証というか、生きた意味を考える年齢になってきました。

 

貢献の場が「生きた証」の一つになれば、と思っています。

 

都内のどこかに分院を作り、平和島レディースクリニックとカルテも共有する事で、どちらのクリニックにも自由に受診できる環境も整えたいと思っています。

 

また、話が進みましたら、ご報告いたします。

妊娠中の糖尿病について

妊娠糖尿病とは


妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見される糖尿病です。妊娠糖尿病になると、妊娠高血圧症候群のリスクが高くなったり、赤ちゃんの奇形のリスクや、亡くなるリスクが上がるため、注意が必要になります。

 

診断方法

妊娠の早い時期に血糖値をはかり、これが高いときには負荷試験という精密検査をして診断します。妊娠初期に大丈夫だった人も、妊娠が進むにつれ血糖値を下げるインスリンというホルモンが効きにくくなるため、妊娠中期(24~28週)にもう一度検査をうける必要があります。
妊婦さんの7~9%は妊娠糖尿病と診断されるので、きちんと検査を受けて下さい。

 

治療方法

血糖管理が最も大切で、食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満が目標です。妊娠中は運動があまり出来ないので、まず食事療法を行います。1日の食事を4~6回に分割しても血糖値がコントロール出来ない場合は、赤ちゃんに悪影響を与えないインスリン注射を用いて管理します。妊娠が進むにつれ、インスリンの使用量が増える事が多いのですが、ほとんどの場合は産後に減量、もしくは中止できるので心配しないようにしましょう。

 

お産の後に気をつける事

産後6-12週間後に再び血糖値の検査をし、妊娠糖尿病が治っているかどうかの評価が必要です。また、治っていても妊娠糖尿病になった方は、妊娠糖尿病のなかった人に比べ、約7倍の確率で将来的に糖尿病になるので、その後も定期的な検診が必要です。



生理痛は治療しない?

時々、「生理痛で他の病院を受診したんだけど、検査しても何もなかったから、何も治療してもらえなかった」と言って受診される患者さんがいます。

 

たしかに、超音波で子宮や卵巣が腫れていると、明らかな「子宮内膜症」として治療適応になる事が多いのですが、超音波では全くわからない「子宮内膜症」もあるのです。

 

超音波だと、せめて1cm前後の大きさの「病変」がないと、見つける事ができません。

 

しかし、1cmにも満たないような「子宮内膜症」は結構あるんです。

 

手術をして、お腹の中を見ていると、数mmしかない「子宮内膜症」を見つける事がよくあります。

 

これらは、生理痛の原因になるのに、超音波検査では「何もない」ということになるのです。

 

では、「超音波で何もない」と治療適応ではないのでしょうか。

 

 

そんな事は決してありません。

 

全ては生理痛が辛いかどうか次第です。

 

生理痛が辛ければ、治療しましょう。

年齢を重ねるごとに生理痛は強くなる事も多く、あまり酷くなると不妊症に繋がる事すらあります。

 

 

 

漢方が効く事もあります。

いろんな種類の痛み止めもあります。

ホルモン治療が体に合えば、相当楽になります。

 

 

 

超音波で何もないから治療の必要がない、なんて言われても諦めないで下さい。

 

しっかりと治療の選択肢を示してくれる婦人科医をかかりつけにしましょう。

 

 

最終月経の大切さ

皆さんは、一番最近の生理がいつ始まったか、覚えていますか?

 

産婦人科を受診する理由として、よくある症状が、生理以外で出血する「不正出血」や、規則正しく生理がこない「生理不順」です。

 

これらの症状は、一番最近の生理がいつ始まったか、可能であれば、もう一つ前の生理がいつ始まったかを知る事で、原因を推測できる事があります。

 

そのため、生理不順や不正出血で産婦人科を受診する時は、一番最近の生理と、その前の生理がいつ始まったか、スムーズに伝えられるようにしておくことをオススメします。

 

例えば、生理周期が28日くらいで、生理が始まって2週間ほどで出血するなら、排卵出血の可能性が高いです。排卵の頃に、ホルモンバランスが大きく変わるため、出血したりオリモノが増えるのは、生理現象として良くある事です。

 

排卵出血は必ず起きる訳ではなく、30代、40代になって初めて起きる事もあります。

 

また、生理周期が2ヶ月、3ヶ月と長くなっている方は、生理以外のところで、少量の出血が出る事があります。

 

これは「破綻出血」と言って、生理に向けて厚くなった子宮内膜が維持できなくなって、剥がれ落ちてくる事で、出血となります。

 

 

排卵出血や破綻出血は、すぐに治療が必要な状態ではないため、最近の生理の日付から考えて、どちらからが推測される場合には、しばらく様子を見るのも選択肢の一つです。

 

ただし、そう言った出血の陰に、子宮頚がんや子宮体癌クラミジア感染など、何らかの病気が隠れていて、早期発見が大切になる事もあります。

 

ですので、もし不正出血が度々ある時には、最近の生理の日付や、出血した日付をカレンダーに付けて、診察の時に出せるようにしておくことをオススメします。

 

妊娠中のインフルエンザ治療

インフルエンザが流行してきて、妊娠中にインフルエンザにかかる方も増えてきました。

 

近くの内科を受診されて、薬を出される妊婦さんから「この薬を飲んでいいか、かかりつけの産婦人科に確認してね」と言われて、問い合わせが入ることがあるので、今回は妊娠中のインフルエンザ治療薬についてまとめてみたいと思います。

 

最もよく使われているインフルエンザ治療薬としては、タミフルリレンザという薬が挙げられます。

アメリカのCDCという政府機関もインフルエンザ症状に対して、妊婦さんへの使用を勧めています。

 

日本国内でも、国立成育医療研究センターという非常に信頼性の高い所から、タミフルリレンザが比較的安全であると発表されています。

 

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/h1n1.html

 

 

タミフル

妊娠初期にタミフルを内服した妊婦さん90名のうち、3人が自然流産、1人が中絶、86人が無事に出産し、そのうちの1人に先天異常が見られましたが、それはタミフルを飲んでいない妊婦さんと比べても、同等の確率でした。

 

調査人数が少ないため、これだけでタミフルが胎児へ全く影響がない、とは言い切れませんが、一般的な先天異常発生率を大きく上回る事は無さそうだと考えられます。

 

長期的な発達に関する影響は、発売されてからの期間が短いため、今後の調査結果が待たれる所です。

 

リレンザ

吸入薬のため、使用しても母親の血液中に移行する量は非常に少なく、わずかな期間使用したとしても、赤ちゃんに重大な影響が出るとは考えにくいです。

 

また、イナビルという薬に関しても、112名の妊婦さんが使用して、妊婦さんにも胎児にも有害な事は起きなかった、という論文があります。

 

こういった抗インフルエンザ治療薬を、症状が出てから48時間以内に使用する事で、発熱期間は1〜2日は短縮し、重症化を予防することができると言われています。

 

以上より、インフルエンザ症状が出た場合には、早めに受診して薬を使用するようにしましょう。

 

中には妊婦さんのインフルエンザは診れないという病院もあるため、受診前に電話で問い合わせることもお忘れなく。