産婦人科医はコウノドリを見たくない
医療関係以外の人から、「コウノドリってドラマ見てる?」ってよく聞かれるけど、「仕事思い出すから、見たことないんだよね」って笑って答えてます。
実際は、最初の3話か4話くらいまでは見て、それ以降は見れなくなってしまったんですが。
あのドラマ、変な誇張がない分、リアルすぎるんですよね。
だから、ドラマを見てるだけで、どうしても思い出してしまって、涙が止まらなくなって、何度も一人で号泣しました。
本当につらい思いをした医師には、見るのが酷なドラマじゃないかと。
妊婦さんを救えなかったこと、もっと別の方法があったんじゃないのかってこと、今でも思い出すとこみあげてくるものがあります。
同じ思いをした先生と話したことがありました。
「お産は怖いからって遠ざかる医師もいるけど、それは本当に怖くてつらい思いをした人間が言えること。そういう経験をした自分たちだからこそ出来ることがあるし、そこから逃げてたんじゃ、何のためにその経験をしたのかわからない」って
当時、自分もつらい思いをして、それを何とか乗り越えようとしていて、その背中を押してくれた言葉です。
自分が思っていたことと同じことを考えている先生がいるんだと思って、とても心強かったです。
だから、今もお産に関わっています。
何かあった時のため、あの時の経験が
無駄にならないように。
プラスマイナスで計算できることじゃないけど、あの時失ったものはお産に関わることでしか補えないと思うから。
10年経っても20年経っても補えないかもしれないけど。
本当につらい思いをした産婦人科医は、あのドラマ、見れないんじゃないかな