平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

コウノドリだけが産婦人科医じゃない

皆さんは、「産婦人科医」と聞いて、何をイメージされるでしょうか。


最近だと、コウノドリが流行っているので、あのイメージをされる方も多いかと思います。


私はコウノドリをほとんど見たことがないのですが、その理由はこちらから・・・


obgyne.hatenablog.com


そういったイメージだと、「産婦人科医は出産に関わる医師だ」ということになると思います。


ただ、実際の産婦人科医は「出産」だけが仕事ではありません。



産婦人科」というように、大きく分けて「産科」と「婦人科」に分かれています。


「産科」の方は、コウノドリのイメージ通り、出産に関わります。


先日書いたような妊婦健診も、「産科」の分類に入ってきます。

obgyne.hatenablog.com



その一方で「婦人科」というのは、子宮癌や卵巣癌のように悪性腫瘍に関わることがメインになってきます。


こういった「産科」と「婦人科」の違いは、「産婦人科専門医」という資格を取った後に選ぶことになっています。


産婦人科専門医の資格を取るまでは、満遍なく「産科」も「婦人科」も経験するので、「産科の基礎」や「婦人科の基礎」は、どの産婦人科医でも対応可能な状況になっています。


ただし、「基礎」を超えてくると、同じ産婦人科医でも対応できない専門分野が出てきます。


先日ブログでも書いた胎児超音波の「総肺静脈還流異常症」は、「基礎的な分野」より「専門的な分野」に近い領域と言えるでしょう。


obgyne.hatenablog.com


そのほかにも、遺伝関係の専門医であったり、不妊症関係の専門医であったり、いろいろな分野へと細分化されていき、その道のプロフェッショナルが生まれていくことになります。




では、産婦人科専門医の資格を取った産婦人科医が、それぞれ「産科の道」「婦人科の道」だけを進んでいくのかというと、残念ながらそこまで特化した道を選べないのが現状です。

特に「お産」や「妊婦健診」に関しては、「産科のスペシャリスト」だけでは到底手が足りず、「婦人科のスペシャリスト」も担当している状況だったりします。


そう考えると、産婦人科医は、生まれる前から、死ぬ直前まで関わることになるので、本当に幅広い分野に関わることになります。


担当のがん患者さんが亡くなり、お見送りをした直後に、お産に呼ばれて赤ちゃんの出産に立ち会うなんてことも普通にあったりして、気持ちの切り替えが難しいことも珍しくありません。


そんな感じで働いているのが、「産婦人科医」という職業です。