妊娠に気づかずに○○を飲んでしまいました。
普段の外来でよく相談されることとして、
生理が遅れたので、念のため、妊娠検査薬を調べてみたら陽性でした。
妊娠に気づかずに○○を飲んでしまいました。
という相談です。
お酒を飲んでしまったり、風邪薬を飲んでしまったり、タバコを吸ってしまったり・・・
いろいろな状況があるのですが、妊娠に気付くのが遅れてしまうのは、よくあることです。
そこで、今回は妊娠ごく初期のことについて説明したいと思います。
まず、排卵後に受精した日にちを妊娠2週0日と定義します。
まだ妊娠してるかどうかもわからないのに、いきなり妊娠2週になるわけですが、そこは余り深く考えないでください。
あくまで定義の問題ですので。
そして、お母さんが体内に取り入れたものは、妊娠4週0日までは影響が出ないと言われています。
この時期を
「全か無か」の時期
と呼んでいます。
万が一、何か影響が出るものを体内に取り入れたとすれば、妊娠4週までに「無」、つまり妊娠が成立しないことになるので、何も気付かずにいつも通りの生理が来ます。
逆に、妊娠が成立した=子宮の中に赤ちゃんの入る袋が見えた、ということは、「全」になるので、妊娠が成立していて、妊娠4週までに体内に取り入れたものは一切影響が出ない、ということになります。
ですので、妊娠検査薬で陽性に出て、婦人科の診察で子宮の中に赤ちゃんの袋が確認できれば、それまでのタバコやお酒、風邪薬なんかは気にしなくても大丈夫と言えます。
では、妊娠4週以降はどうなのか、というと、医学的には、最も赤ちゃんが影響を受けやすい時期に入ってきます。
とはいえ、その時期に妊娠に気付かずにタバコやお酒を飲んだからと言って、赤ちゃんに重い障害が出る確率が高くなるとは考えにくいため、ことさら心配する必要はないでしょう。
一般的に、妊娠したすべての女性のうち約3%ほどは赤ちゃんに奇形が生じます。
妊娠に気付かずに数日タバコを吸ったり、お酒や風邪薬を飲んだところで、その確率はほとんど変わらないので、妊娠に気付いてから止めれば十分でしょう。
ただ、「友達は妊娠中にタバコを吸ってたけど元気な赤ちゃんを産んだ」という情報だけは鵜呑みにしないでください。
それはたまたま「運が良かった」だけです。
妊娠したら
妊娠に気付いたら
お酒もタバコもやめる
それが、出産の第一歩です。
傷をキレイに治すために
時々、外来で
帝王切開の傷が目立つんですが
と相談されることがあります。
この「傷跡」が目立つものとしては
肥厚性瘢痕
と
ケロイド
というものが考えられます。
ケロイドというのは、傷跡からどんどん広がって正常な皮膚にまで広がるタイプですので、比較的少なくて、肥厚性瘢痕という状態のことが多い印象です。
そして、この肥厚性瘢痕を予防する方法としては、まずは
術後早期
からの対応が大事になってきます。
というのも、傷跡が広がる方向に力が加わっていると、傷自体が広がってしまって、肥厚性瘢痕になりやすいので、早い段階からテープで皮膚を寄せるようにするのが大切になってきます。
以前、勤めていた病院では、帝王切開の後の妊婦さんには全員そのように説明していて、専用のテープも購入してもらうようにしていたのですが、病院によっては、そのような説明までしていないところもあるようです。
ですので、もしこれから手術をする予定があれば、術後早期からの対応が大事だということは覚えておいてくださいね。
そして、もうすでに手術から時間が経っている、というかた。
肥厚性瘢痕であれば、数カ月から年単位で徐々に傷は目立たなくなっていくことが多いです。
そのほかには、トラニラストという飲み薬を半年ほど飲んでいると、8割近い人が痛みやかゆみ、赤みや固さが改善してきた、というデータもありますので、試してみてもいいと思います。
傷跡は仕方がない、と悩んでいる方は一度相談してみてくださいね。
手術を担当した先生だと、なかなか傷跡の「その後」まで詳しくないことも多いので、傷跡で相談するのであれば、形成外科がおススメです。
コウノドリだけが産婦人科医じゃない
皆さんは、「産婦人科医」と聞いて、何をイメージされるでしょうか。
最近だと、コウノドリが流行っているので、あのイメージをされる方も多いかと思います。
私はコウノドリをほとんど見たことがないのですが、その理由はこちらから・・・
そういったイメージだと、「産婦人科医は出産に関わる医師だ」ということになると思います。
ただ、実際の産婦人科医は「出産」だけが仕事ではありません。
「産婦人科」というように、大きく分けて「産科」と「婦人科」に分かれています。
「産科」の方は、コウノドリのイメージ通り、出産に関わります。
先日書いたような妊婦健診も、「産科」の分類に入ってきます。
その一方で「婦人科」というのは、子宮癌や卵巣癌のように悪性腫瘍に関わることがメインになってきます。
こういった「産科」と「婦人科」の違いは、「産婦人科専門医」という資格を取った後に選ぶことになっています。
産婦人科専門医の資格を取るまでは、満遍なく「産科」も「婦人科」も経験するので、「産科の基礎」や「婦人科の基礎」は、どの産婦人科医でも対応可能な状況になっています。
ただし、「基礎」を超えてくると、同じ産婦人科医でも対応できない専門分野が出てきます。
先日ブログでも書いた胎児超音波の「総肺静脈還流異常症」は、「基礎的な分野」より「専門的な分野」に近い領域と言えるでしょう。
そのほかにも、遺伝関係の専門医であったり、不妊症関係の専門医であったり、いろいろな分野へと細分化されていき、その道のプロフェッショナルが生まれていくことになります。
では、産婦人科専門医の資格を取った産婦人科医が、それぞれ「産科の道」「婦人科の道」だけを進んでいくのかというと、残念ながらそこまで特化した道を選べないのが現状です。
特に「お産」や「妊婦健診」に関しては、「産科のスペシャリスト」だけでは到底手が足りず、「婦人科のスペシャリスト」も担当している状況だったりします。
そう考えると、産婦人科医は、生まれる前から、死ぬ直前まで関わることになるので、本当に幅広い分野に関わることになります。
担当のがん患者さんが亡くなり、お見送りをした直後に、お産に呼ばれて赤ちゃんの出産に立ち会うなんてことも普通にあったりして、気持ちの切り替えが難しいことも珍しくありません。
そんな感じで働いているのが、「産婦人科医」という職業です。
何科を受診すればいいんでしょうか
自分の症状がいったい病院の何科を受診すればいいのかわからない!!という相談は結構あります。
わかりやすく
「腹痛科」
とか
「頭痛科」
とか分かれているといいんですが、いきなり内科とか外科とか言われても、さっぱりわからないですよね。
ちなみに、婦人科受診の目安としては、
お臍より下
っていうイメージでいいと思います。
子宮や卵巣は、お腹のかなり下の方になるので、その部分に何かがあれば、お臍より下に症状が出ることがほとんどです。
もちろん、とても大きな子宮筋腫や卵巣腫瘍があると、お臍の上まで大きくなることもあるのですが、基本的にお臍の上だけに症状が出ることは極めて稀です。
例外があるとすれば、クラミジアに感染して、それが肝臓の方まで広がってしまうと、みぞおちの右側あたりが痛むことはあります。
ですので、基本的には臍から下の症状で悩んでいるときには婦人科受診を考えてもらっていいと思います。
まれに
「なんで婦人科来たの?」
なんて言う先生もいるみたいですが、それは、、、すいません、外れに当たったと思ってください・・・
これは医者に限らないかもしれませんが、「自分にとっての常識」が「他人にとっても常識」だと強く思うタイプの人がいまして、「この症状なら、この診療科でしょ」という「医者にとっての常識」を患者さんにも押し付けてしまう人がいるのは確かです。。。
ですので、万が一「なんでウチに来たの?」なんてことを言われたら、「はい、はずれー」と思って、切り替えてくださいね。
ちなみに、婦人科とは関係なく、よく勘違いされているのが
整形外科と形成外科
美容整形なんて言うくらいなので、美容整形は整形外科医がやっていると思われがちですが、整形外科は骨折とか靭帯の怪我を診るのがメインなので、美容整形には関わっていません。
形成外科が、主に傷を綺麗に治すのが仕事なので、その延長線上に美容整形もある感じですね。
比較的、精神科と心療内科は同じようなことをしていると思います。精神科というネーミングだと少しハードルが高いので、心療内科という優しいネーミングになっているイメージです・・・・と思っているのですが、「それは違う!!」という点があれば教えてください。。。
神経内科は、精神的な問題では無く、神経の問題で困っている人を診る科ですね。例えば、パーキンソン病といって震えが止まらない病気を診たり。しびれや震え、物忘れなどを主に診る科になります。
以上、簡単ではありますが、診療科目について説明してみました。
「この科は何しているの?」っていう質問があれば、コメントくださいね。
クリニックも少しクリスマス仕様に
12月になって、街中もクリスマスに模様替えが進んでいますが、当院もクリスマス仕様に少し模様替えをしました。
スタッフが用意してくれたクリスマスツリーです。
そして、こちらは
雑貨屋さんで衝動買いしたマッチ箱アートです。
クリスマスはあまり関係ありませんが、一目惚れして購入してきました。
こちらは、その雑貨屋さんの店内の様子。
喫茶コーナーもあって、コーヒーの香りが漂う、とても素敵な空間でした。
またクリニック用に何か買ってきたいと思います。