妊娠中の甲状腺機能チェックしてますか?
当院では妊娠初期の採血項目として甲状腺機能を調べるようにしています。
それにはいくつか理由があるのですが、今回は妊娠中の甲状腺機能と生まれた赤ちゃんの喘息の関係についての論文を紹介したいと思います。
甲状腺というのは喉にある小さな臓器で体の活動に関わるホルモンを出しています。
その甲状腺の機能と赤ちゃんの喘息の関係についての論文です。
こちらの論文では、59万人の赤ちゃんについて調べています。
その中で、出産前にお母さんの甲状腺機能低下が診断されていた赤ちゃんは3524人、出産後にお母さんが甲状腺機能低下を診断された赤ちゃんが4664人いました。
そして49000人近い赤ちゃんが喘息治療を受けていました。
結果的に甲状腺機能異常のなかったお母さんに比べて、出産前に甲状腺機能低下と診断されたお母さんから生まれた赤ちゃんでは喘息のリスクが1.16倍、産後に診断されたお母さんから生まれた赤ちゃんでは1.12倍になりました。
また、出産前に甲状腺機能低下と診断されて、妊娠中に治療を受けなかったお母さんから生まれた赤ちゃんでは、喘息のリスクが1.37倍になっていました。
以上のことから、妊娠時に甲状腺機能の検査をして治療しておくことは、赤ちゃんの喘息のリスクを下げるのに有効な手段だといえます。
実際、妊娠初期には、みんな血液検査を受けることになっています。その検査項目は、貧血や血糖値のチェックなど、ある程度やらないといけない項目が決まっているので、日本国内で検査を受けていれば、最低限の検査はみんな受けていることになります。
しかし、甲状腺機能の検査項目は必須ではありません。そのため、妊娠中に採血したのに、甲状腺機能は調べていない、ということも十分ありえます。
ですので、もし妊娠中に採血して、甲状腺機能を調べていないようであれば、一緒に検査をしてもらえるようにお願いしてみましょう。
それほど高い検査ではないので、それだけで赤ちゃんの喘息のリスクが下げられるのであれば、ぜひ受けておきたいですよね。