平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

お産直後にミレーナを入れるという選択肢

以前、生理痛に対して

 

ミレーナ

 

という治療法があると説明したのですが、今回はそのミレーナを入れる時期についてです。

 

 

ミレーナ自体は経腟分娩の経験のある方だと比較的スムーズに入れられるのですが、それは子宮の出口が少し開いていて、ミレーナ挿入時の痛みが少なくて済むからです。

 

そのため、お産の直後だと余計に子宮の出口が開いているため、より痛みが少なくてミレーナを入れる事ができます。

 

お産をして2ヶ月くらいしてからミレーナを入れた患者さんは、全く痛みなく挿入できた事もあるくらいです。

 

生理痛に対してミレーナを使う場合は、保険適応になりますので、1万円前後で入れることが可能であり、5年間は効果が持ちますので、かなりリーズナブルに生理痛を治療することができます。

 

出産後6週間経過すれば挿入可能ですし、授乳中でも赤ちゃんに影響は出ないので、もしもミレーナを検討されている方は、ご相談下さい。

月経移動について

旅行や試験と月経が重なってしまって困る、という方には月経移動をお勧めしています。

 

ここでは月経が来てほしくない!!というときに、その月経を後にずらしたり、早めたりすることができるのです。

 

今回はその方法について説明したいと思います。

 

まず、早める方法について。

 

これは、来て欲しくない生理の一つ前の生理が終わるあたりからホルモン剤を10日前後内服すると、その数日後に生理がくる、という飲み方です。

 

もし、5月の生理を移動させたいのであれば、4月の生理あたりからホルモン剤を飲むことで、5月の生理を少し早める事ができます。

 

ただ、早める方法は時に失敗することがあるので、より確実性を求めるのであれば、遅らせる方法をお勧めします。

 

遅らせる場合には、来てほしくない生理の5~7日ほど前からホルモン剤を内服します。内服している間は生理が来なくて、飲み終わって数日してから生理が来ることになります。

 

そのため、来てほしくない生理の1週間近く前には受診してもらう必要があります。

 

内服してもらうお薬自体は大きく分けて二種類あります。

 

中用量ピルと言われるものと、ノアルテンという名前の薬です。

 

中用量ピルに関しては、副作用として吐き気が出ることがあるので、初めて内服する場合には少し注意が必要です。以前内服したことがあって、キツい副作用が出ない事がわかっていれば大丈夫ですが、もし副作用が心配な時には、大切な用事の時には避けた方がいいかも知れません。また、血栓症という副作用もあるため、40歳以上の方やタバコを吸う方などはリスクを伴う薬になります。

 

その点、ノアルテンという薬であれば、血栓症のリスクはなく、年齢や喫煙に関係なく内服することができます。

また、吐き気などの副作用も比較的出にくいお薬になっています。

 

大事な用事に生理が被って困る時には対応可能なことがありますので、お近くの婦人科へご相談ください。

妊娠中の便秘薬について

妊娠すると、ほとんどの方は便秘になっていきます。

 

妊娠初期は便秘と下痢を繰り返すことも多いのですが、妊娠週数が進むにつれて、便秘気味になっていき、便秘薬を処方することが大変多くなります。

 

時々「何日くらい便が出なかったら薬を飲んだ方がいいですか?」と聞かれることがあるのですが、特に決まりはありません。

 

便が出ないことによる不快感が強かったり、痛みが出るようなら、お薬をお勧めしています。

 

特に便秘からお腹が痛くなったりすると、妊娠中の腹痛の原因が便秘なのか、何か他に大変なことが起きているのか、とても判断が難しくなることがあるので、便秘はちゃんと解消しておくことが大切です。

 

最もよく使われる便秘薬は、酸化マグネシウム。「カマ」と略したり「カマグ」と略したりしますが、昔からずっとあるお薬で、普段の便秘薬としても最も使われている薬の一つです。

 

これは、便そのものを柔らかくする効果があるのですが、人によっては効きすぎて下痢になる事もあるため、適宜量を調整して飲む必要があります。

 

また、もともと体内にはマグネシウムが大量にあるため、この薬を飲んだ事で赤ちゃんに影響が出るとは考えにくいです。

 

大体の方は、この便秘薬で解決する事が多いですね。

 

あとは、ピコスルファートという液体の薬で、腸の動きを刺激して、便秘を解消するものもあります。

大腸で働き、そのほとんどが便の中に排泄されるため、赤ちゃんへの影響もほとんどないと言えるでしょう。

 

この二種類の薬のどちらかを使ったり、併用する事で便秘が解消されることがほとんどです。

 

便秘は、あまりひどくなると強い腹痛が出てくることがあるので、食事でコントロールできない時には、お薬を使うようにしましょう。

 

 

 

 

精液検査が怖い??

不妊外来では妊娠しにくい原因が何かないか調べるのですが、女性の検査としては、内診でオリモノを調べたり、超音波検査で子宮や卵巣を調べたり、卵管という通り道が通っているかどうかを調べたり、血液検査をしたり、さまざまな検査があります。

そのため、通院回数もそれなりに必要になってきます。

一方で、男性の検査はと言うと、、、


精液検査のみ!!


これだけです。


クリニックによっては採精室と言って、クリニック内の個室で取ってもらうこともありますが、当クリニックでは自宅で専用容器に出してもらったものを持ってきてもらうことで調べる事が出来ます。


ですので、妊娠希望で受診された女性の方には、一通りの検査説明と同時に、パートナーの精液検査の必要性も説明するのですが、なかなか受けてくれない事も多いのです、、、


中には、「やっと精液検査を受けてくれました」と、ホッとされる方もいます。


なかなか精液検査を受けない男性の気持ちとして、よく聞くのは

自分に原因があるのが怖いから

という理由なんですが、、、


ちょっと待ってください。


女性側は、その原因を見つけるために病院に何度も通っているのです。

何か原因があれば、それに対して対策をしようと頑張っているのです。


それなのに、男性側が「怖いから」「心配だから」という理由で、検査すら受けない、というのは、いかがなものでしょうか。


そもそも、不妊症の原因は半数は女性、半数は男性にあるとも言われています。

ですので、女性側だけが何度も検査のために病院に通うのはおかしな話です。


もしも、精液検査で引っかかるような事があれば、治療法が大きく変わるので、女性の治療が無駄になる可能性すらあるのです。


是非とも、時間の都合をつけて一度は精液検査を受けるようにして下さい。

妊娠中の安定期っていつから?

妊婦さんから「安定期っていつですか?」と聞かれる事がよくあります。

 

結論から言うと

 

安定期はありません

 

なぜかと言うと、お腹が張ったり、出血があったりすると、それだけで安定とは言えなくなってしまうからです。

 

ただ、一般的には「安定期」という言葉を使う事が多いので、あくまで一般論としての安定期について説明したいと思います。

 

妊娠初期には出血しやすい状態が続き、流産する訳でもないのに、少量の出血が認められる事が多いです。

 

そういった出血は妊娠週数が進むにつれて減っていき、妊娠16週頃には胎盤が完成して、出血することも少なくなります。

 

この胎盤が完成する時期を一般的には「安定期」と呼んでいます。

 

ただ、先ほども説明したように、出血したり、お腹が張ったりしていると、それだけで「安定」とは呼べなくなるので、無理は禁物です。

 

時々、妊娠中に激しい運動をしても無事に出産した、というエピソードが武勇伝のように語られますが、それはただ単に運が良かっただけの事です。

激しい運動をして赤ちゃんに何かあった人は、あえてその話を他人にしないだけです。

 

ですので、「安定期」という言葉を過信せず、無理をしない生活を送るようにしてください。