ニキビ治療薬にはご注意を
婦人科にニキビの相談がメインで来られる方はあまりおられないのですが、ピルの相談と一緒にニキビの相談を受けることがあります。
中には、ニキビ治療薬を個人輸入している、と言う方もおられたので、今回は海外のニキビ治療薬について少し説明したいと思います。
ニキビの治療として有効なものであっても、妊娠中に使ってしまうと問題になってしまう薬があるのです。
それは、
アキュテイン
という薬です。
アキュテインというのは商品名なので、他の商品名としては、ロアキュテイン、ソトレット、アムネスティーム、クララビス、イソトロレン、アクノティンという名前が挙げられますが、これらはすべて
イソトレチノイン
という成分が入っているのです。
ニキビの治療薬としてはかなり優秀で、海外ではもっとも使われているニキビ治療薬の一つです。
ただし、このイソトレチノインという成分は、催奇形性といって赤ちゃんに影響を与える物質として、妊娠を考えている方は使ってはいけない薬になっているのです。
妊娠中にイソトレチノインを使用することで、頭蓋・顔面(耳が無かったり、顎が非常に小さくなったり)、胸腺異常、中枢神経の奇形、心奇形などが起きる可能性があるのです。
そのため、海外では、毎月妊娠検査薬で陰性なのを確認した上で使わないといけない薬になっています。
そのことを知らずに海外から個人輸入をして使っている方がいるので、厚生労働省からも注意喚起が出されています。
また、皮膚科の先生が個人輸入して患者さんに使っている可能性もあるため、もしニキビ治療薬を使っている方がいましたら、その薬がどういった薬なのかはしっかり調べた方がいいと思います。
ちなみに、ディフェリンゲルというニキビの薬も、新たに保険で処方されるようになりました。
こちらは、動物実験で経口投与により催奇形性が認められましたが、経皮投与=皮膚に塗るだけであれば、催奇形性が認められなかったため、妊娠に気付かないで使用してもリスクはほとんどないと言えます。
ただ、比較的新しい薬ですので、あえて妊娠がわかってから使うのは避けた方がいいでしょう。
以上、ニキビに対する薬と妊娠について説明しました。
普段から使っている薬にも中止しなければならない可能性もあるため、皮膚科の先生に妊娠の相談はしておくことをお勧めします。
久しぶりの読書感想文
今回読んだのはコチラ
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高飛び込みに打ち込む中高生を描いた青春小説です。
正直、高飛び込みって全く興味なかったですし、テレビでもほとんど見たことがない競技なので、マイナーすぎて小説も楽しめないかなと思っていたのですが、いい意味で期待を裏切ってくれました。
是非とも、皆さんに読んでみてもらいたいので、あらすじは出来るだけ話さないようにしておきます。
たぶん、「高飛び込み」ってだけで敬遠する人もいると思います。私自身、読み終わった今でも、高飛び込みの技の種類がよくわかっていません。
読んでる途中でも、いろんな技の名前が出てくるのに、さっぱりイメージが沸きません。
それでも十分なほど楽しめるのです。
特に終盤の競技に関しては、机に向かって読んでいたのですが、思わず前のめりになりながら読んでしまいました。
この感覚、何かに似てるなと思ったら・・・
SLAM DUNK(スラムダンク) 完全版 全24巻・全巻セット (ジャンプコミックスデラックス)
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スラムダンクの山王戦!!!
私は号泣しながら読んだのですが、その感動に近いものがありました。
是非ともお勧めです。
授乳中に痛み止めを飲んでもいいの?
先日、妊娠中に痛み止めを飲んでいいのかどうか書いたのですが、今回は授乳中の痛み止めについてまとめてみたいと思います。
妊娠中に比較的安心して飲める鎮痛剤として、アセトアミノフェンがあるのですが、これは授乳中も同じで、比較的安心して使ってもらえる薬です。
授乳中に内服した薬が母乳内に移行する確率はとても低い薬が多く、アセトアミノフェン自体も母乳に移行する量はとても少ないと言われています。
また、イブプロフェンという痛み止めも、母親の内服量の0.0008%が母乳に移行する、という論文もあります。
ロキソニンという商品名で有名なロキソプロフェンナトリウム水和物も、動物実験では乳汁中に検出されますが、ヒトでは乳汁中に移行しないと言われています。
以上の事より、妊娠中には使いにくかった鎮痛剤も、授乳の時期になれば比較的使いやすくなってくるので、乳腺炎や頭痛など、痛み止めが必要であれば、遠慮なく受診してくださいね。
妊娠中の塗り薬について
妊娠前から皮膚科で出されていた薬を妊娠中も継続していいのか聞かれることがとても多いので、今回は妊娠中の塗り薬について説明したいと思います。
一番よく処方されている薬の種類としては
ステロイド軟こう
というものですね。かゆみや炎症に対して処方されることが多いと思います。
ステロイドというと、効果はあるけれど副作用もある、というイメージがあると思います。実際、妊娠中にステロイドを内服することで奇形の確率がわずかばかりあがった、という論文があったり、それを否定する論文があったりと、なかなか判断が難しい薬になります。
基本的には、ステロイドを使わないことで妊娠中の体調が相当悪くなるのであれば、ステロイドを使うメリットの方が大きいと判断して継続することになります。
ただし、それはステロイドを内服する場合のこと。
今回お話ししているステロイドの塗り薬であれば、基本的にそのような副作用は考えなくても大丈夫です。
というのも、皮膚に塗ったステロイドが皮膚から吸収されて全身に回り、赤ちゃんまで到達する量はごくわずかだからです。
ですので、決められた量を決められた部位に使うだけであれば、赤ちゃんへの影響はまず考えなくて大丈夫。
ちなみに、薬の添付文書には、
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量または長期にわたる広範囲の使用を避けること
とありますので、ここからも広範囲に使うものでなければ大丈夫と言えますね。
次にニキビの治療薬についてですが、これはかなり注意が必要になるため、また別の機会に説明したいと思います。
簡単に言うと、
アキュテイン
という薬は要注意です。日本国内ではまだ承認されていない薬なので、ニキビ治療薬を個人輸入している場合や、皮膚科の先生が特別に輸入して使っている場合などは、注意が必要なので、気を付けてくださいね。
妊娠中に痛み止めを飲んでもいいの?
もともと頭痛もちだったり、妊娠してから腰痛が出てきたりして、痛み止めが必要になることがあります。
そんな時、どういうタイプの痛み止めを飲めばいいのか、今回はまとめてみたいと思います。
痛み止めにはいくつも種類があって、市販薬まで含めるとキリが無くなってしまうので、ひとまず処方薬について説明したいと思います。痛み止めが必要になった時は、市販薬を飲まずに、処方薬を使うようにしてくださいね。
痛み止めで一番なじみがあるのは、
という薬です。これは、処方薬でもありますし、市販もされています。
とてもよく使う薬なのですが、基本的にはロキソニンは妊娠中には使いにくい薬になっています。
まず、妊娠初期にロキソニンを内服した場合、論文によっては流産率が上昇した、というものがあります。流産率は変わらなかった、という論文もあるので判断が難しい部分ですが、他に使える痛み止めがあるのであれば、あえてロキソニンを選ばなくてもいいというところでしょう。
また、妊娠後期に内服した場合は、
胎児動脈管
という赤ちゃんにとって大事な血管に影響する可能性があるため、やはり妊娠後期も内服しない方がいいでしょう。
この動脈管という血管はとても大切なので、痛み止め成分が入った湿布薬も基本的には妊娠後期には使わない方がいいでしょう。
妊娠中に比較的安全と言われている鎮痛剤としては、
というものがあります。カロナールという商品名で有名な薬ですが、これであれば妊娠初期・中期を通して比較的安全と言われているので、
妊娠中の痛み止めといえばアセトアミノフェン
と考えられています。
痛み止めには、まずアセトアミノフェンを使ってみて、それでもダメであれば、副作用を考えたうえで、別の痛み止めを使っていくことになります。
特にひどい片頭痛がある場合、先ほどのアセトアミノフェンでは効果がないことがあり、妊娠初期であればロキソニンも選択肢に上がってきます。ロキソニンによって流産率が上がるかも、という論文はあるものの、否定的な論文もありますし、奇形の確率が上がるというデータはないので、どうしても頭痛がキツイ場合には、ロキソニン内服も考えることになります。
以上、妊娠中の痛み止めについてまとめてみました。
もし、妊娠中に痛み止めが必要になったら、いきなり市販薬で対処するのではなく、受診して相談して下さいね。