現役産婦人科医の時間外診療

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現役産婦人科医の時間外診療

現役産婦人科医が診察室では説明しきれないことをまとめてみます

妊婦さんをたらい回しにしている訳ではない

私が現在働いている病院は、3次救急といって、重症な患者さんを救急車で受け入れる病院であり、基本的に依頼のあった紹介患者さんはすべて受け入れています。


それは、全ての科に言えることなので、病院自体の患者数が定員いっぱいになることもあります。

満床という状態なんですが、さすがにその時は他の病院から依頼があっても受けられなかったりします。

この一年で、満床が理由で婦人科の患者さんを断ったことも何度かありました。


妊婦さんの搬送依頼も何度か断らざるを得ませんでした。

それは、産科の問題では無く、

NICUの問題。


NICU、つまり新生児集中治療室では、週数が早く産まれた赤ちゃんを新生児科の先生が専門的に診てくれるんですが、早く産まれれば産まれるほど、その赤ちゃんは長い間、NICUに入院していることになります。


そうすると、産後退院していくお母さん達に比べて、必然的にNICUは満床に
なりがち。


NICUが満床だと、いくら産婦人科医の手が余っていても、産まれた赤ちゃんの行き場がないので、妊婦さんの紹介を
断らなければならなくなるのです。


以前、妊婦さんを受けれなくて、残念な結果になったことが報道されたことがありました。

産婦人科は妊婦さんを受けられるんだけど、NICUが満床だったり、合併症を
診れる医師がいなかったりと、いろんな要素が絡み合ったりしていることが多いのですが、産婦人科医が矢面にたっていたのは同業者としてツライおもいをした
ものでした。


なので、そんなときに

たらい回し


って言葉を使われると、とても傷つきます。


マスコミという、言葉を使う仕事をしている人が選ぶ言葉ではないと思います。


もちろん、受け入れられず、残念な結果になってしまった妊婦さんの立場だけからすれば、たらい回しという言葉が適当なのかもしれません。


しかし、受け入れたくても受け入れられ
なかった医師の立場はどうなんでしょうか。

たらい回しと非難されることなんでしょうか。


一方の立場だけから見た報道ではなく、それが起きた背景をしっかり確認した上で、適切な言葉で報道していただきたいと思っています。


たらい回し=病院が悪い、医師が悪い


という構図を作って、医師患者関係を悪化させても何も得るものはありません。