現役産婦人科医の時間外診療

平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

新しいピルが発売されました ジェミーナ

生理痛に悩んでいる方におススメしているピルですが、今まで保険で処方できたのは

ルナベルLD、ルナベルULD、ヤーズ、ヤーズフレックスの4種類でした。

そこに

ジェミーナ

という新しいピルが加わることになりました。



ジェミーナという薬が、今までのピルと何が違うかというと、日本初の


レボノルゲストレル


が含まれるピルという点です。


これについては、以前ブログで説明しているので、どうぞ。


obgyne.hatenablog.com


簡単にまとめると、今までのピルよりも、より血栓症のリスクが低いことが期待できる、ということです。


ピルの血栓症については、飲み始めが一番リスクが高く、飲んでいる間にどんどんリスクが低くなってきています。

そのため、今までヤーズやルナベルで調子が良い方が、ジェミーナに変えるべきかどうか、というのは難しい問題になります。

ピルの種類を変えることで、今まで調子が良かったのに、血栓症以外の副作用が出てくる可能性もありますので。


新たにピルを始める方はジェミーナを選ぶのがいいかもしれませんから、主治医の先生と相談してみてください。


ちなみに、ルナベルに関しては21日タイプ、ヤーズに関しては28日タイプでしたが、このジェミーナに関しては、21日タイプも28日タイプもあります。


このように、21日ごとに生理を来させることもできれば、77日ごとに生理を来させることもできるので、希望に応じて選んでもらえます。

生理痛、生理不順、生理前の調子の悪さ、そういったものが改善されることの多いピルの内服を一度検討してみてくださいね。

妊娠と麻疹

今年の3月、台湾から沖縄に来ていた旅行客が麻疹と診断されたことをきっかけに、沖縄県内で麻疹の感染が拡大しています。

また、4月に入って、沖縄県を旅行していた愛知県の男性が、麻疹と診断された為、愛知県はもとより、日本国内での麻疹の感染拡大が予想されています。

麻疹とは

麻疹とは、麻疹ウイルスによって引き起こされる感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染と非常に強い感染力を持っています。

麻疹の症状は

典型的な経過としては、感染後10日ほどしてから症状が出現します。3日ほど発熱・咳・鼻水・結膜炎などの風邪症状が続いた後に、発疹が出現して、回復します。それだけで済めばいいのですが、肺炎や脳炎などの合併症をおこすことがあり、先進国でも1000人に1人が亡くなる、と言われています。

麻疹ワクチンについて

唯一の有効な予防法は、ワクチンの接種であり、2回接種することによって、発症のリスクを最小限に抑えることができます。
空気感染するため、手洗いやマスクでは予防できないと言われています。

妊娠中に麻疹にかかると

妊娠中に麻疹にかかると、流早産の確率が上がったり、肺炎のリスクが高くなると言われています。

1990年ころ、アメリカで麻疹が大流行した際、麻疹に感染した妊婦さんの3%近くが肺炎で亡くなりました。妊娠していない方の死亡率が1%以下であることを考えると、妊婦さんが麻疹に感染するリスクがよくわかると思います。

また、麻疹に感染した妊婦さんの3割近くが流産・早産となってしまいました。

予防策は

手洗いやマスクでは予防できません。ワクチンのみです。

妊娠してからはワクチンが打てないのですが、一緒に暮らしているご家族は打てますので、周囲の方がワクチンを打つことはとても大切です。また、できるだけ人ごみに出かけないことも大事です。

特に、現時点では沖縄県での流行が盛んであるため、連休中に沖縄県への旅行を考えている方は控えた方がいいでしょう。

もしも、感染したかも、と思った時は、いきなり病院を受診するのだけは避けましょう。麻疹に感染した状態で病院に行き、待合室で待っているだけで、周囲の患者さんに感染してしまうことがあります。まずは、疑わしい時には病院へ電話して、どのように受診すればいいか、確認して下さいね。

手伝っていただけるドクター募集

昨年6月に開業して、早いものでもう10カ月が経ちました。

 

最初の頃は、患者さんも少なくて、来院されたらすぐに診察室に入ってもらえていたのですが、最近は少し混んできて、夜間は30分前後お待ちいただくことも増えてきてしまいました。

 

ご迷惑をおかけしています。

 

完全予約制としているのですが、やはりお仕事終わりの17時以降は、早い段階で予約が埋まることもあり、、、

 

現在は、水曜と金曜が17時で終わっているので、その影響もあって、月曜・火曜・木曜の夜は混んでしまう状況です。

 

そこで、水曜と金曜の夜に診察していただける女性ドクターを募集しようと思います。

 

水曜か金曜、夕方5時から8時まで(最終受付が8時なので、終わるのは8時半頃になります)

 

一番の条件は、患者さんの話をしっかり聞いてもらえる方。総合病院だと、次々に患者さんを診ないといけない外来が多いのですが、そうではなくて、患者さんの質問を最初から最後までしっかり聞いてもらえるドクターを募集したいと思います。

 

協力していただける方がいらっしゃいましたら、よろしくお願いします。

 

 

妊娠中の甲状腺機能チェックしてますか?

当院では妊娠初期の採血項目として甲状腺機能を調べるようにしています。

 

それにはいくつか理由があるのですが、今回は妊娠中の甲状腺機能と生まれた赤ちゃんの喘息の関係についての論文を紹介したいと思います。

 

 

甲状腺というのは喉にある小さな臓器で体の活動に関わるホルモンを出しています。

その甲状腺の機能と赤ちゃんの喘息の関係についての論文です。

 

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/all.13365/abstract?systemMessage=Please+be+advised+that+we+experienced+an+unexpected+issue+that+occurred+on+Saturday+and+Sunday+January+20th+and+21st+that+caused+the+site+to+be+down+for+an+extended+period+of+time+and+affected+the+ability+of+users+to+access+content+on+Wiley+Online+Library.+This+issue+has+now+been+fully+resolved.++We+apologize+for+any+inconvenience+this+may+have+caused+and+are+working+to+ensure+that+we+can+alert+you+immediately+of+any+unplanned+periods+of+downtime+or+disruption+in+the+future.

 

 

こちらの論文では、59万人の赤ちゃんについて調べています。

 

その中で、出産前にお母さんの甲状腺機能低下が診断されていた赤ちゃんは3524人、出産後にお母さんが甲状腺機能低下を診断された赤ちゃんが4664人いました。

 

そして49000人近い赤ちゃんが喘息治療を受けていました。

 

結果的に甲状腺機能異常のなかったお母さんに比べて、出産前に甲状腺機能低下と診断されたお母さんから生まれた赤ちゃんでは喘息のリスクが1.16倍、産後に診断されたお母さんから生まれた赤ちゃんでは1.12倍になりました。

 

また、出産前に甲状腺機能低下と診断されて、妊娠中に治療を受けなかったお母さんから生まれた赤ちゃんでは、喘息のリスクが1.37倍になっていました。

 

以上のことから、妊娠時に甲状腺機能の検査をして治療しておくことは、赤ちゃんの喘息のリスクを下げるのに有効な手段だといえます。

 

 

実際、妊娠初期には、みんな血液検査を受けることになっています。その検査項目は、貧血や血糖値のチェックなど、ある程度やらないといけない項目が決まっているので、日本国内で検査を受けていれば、最低限の検査はみんな受けていることになります。

 

しかし、甲状腺機能の検査項目は必須ではありません。そのため、妊娠中に採血したのに、甲状腺機能は調べていない、ということも十分ありえます。

 

ですので、もし妊娠中に採血して、甲状腺機能を調べていないようであれば、一緒に検査をしてもらえるようにお願いしてみましょう。

 

それほど高い検査ではないので、それだけで赤ちゃんの喘息のリスクが下げられるのであれば、ぜひ受けておきたいですよね。

 

子宮奇形と妊娠の関係

普段の外来で超音波検査をしていると、ふいに


子宮が二つある


という患者さんを診ることがあります。

本来は子宮は一つなのですが、まだ生まれる前、お母さんのおなかの中にいる時期に臓器が作られる段階で、子宮が二つになってしまうことがあるのです。

これは生まれながらのものなので、生まれた後に何かをしたからそうなる、という関係性はありません。

また、ほとんど自覚症状も出ないため、何かのきっかけで婦人科を受診した時に、たまたま見つかる、ということがほとんどです。


この子宮が二つある、という状況は、大きく分けて

単頚双角子宮

双頚双角子宮

の二つに分かれます。


「単頚」というのは、子宮の出口の部分が一つで、「子宮体部」という赤ちゃんが妊娠する部分が二つに分かれているタイプです。

「双頚」というのは、子宮の出口の部分も子宮体部も二つあるので、完全に子宮が二個ある、というイメージです。


この「単頚」か「双頚」かで、妊娠した時の経過が大きく異なってきます。

それを示した論文がこちら

www.ncbi.nlm.nih.gov


73人の双角子宮の女性が妊娠し、22週以降に出産した場合の結果を比べてみました。

まず、単頚子宮の場合は、早産率が27%、胎盤早期剥離が14%になりました。

子宮奇形のない比較した群では早産率:5%、胎盤早期剥離:0.7%だったので、リスクの高さがわかるかと思います。

そして、双頚子宮の場合は、帝王切開率が90%近くになりました。これは、子宮の出口が二つあるために、赤ちゃんの通り道である子宮の出口がスペース的に上手く広がらないために、帝王切開になっている可能性が考えられます。


また別の論文では

www.ncbi.nlm.nih.gov

単頚双角子宮の場合は、早産率:8%
双頚双角子宮の場合は、早産率:30%
特に何もない方では早産率:0.8%

というデータが出ており、超音波検査で子宮の出口の長さを計測することで、早産予想が可能となっています。

もともと、お腹が張ったりして早産の心配があると、超音波で子宮の出口の長さを測るので、子宮奇形の場合には特に注意深く様子を見る必要がある、ということですね。


以上、子宮奇形と妊娠に関するデータを調べてみました。

今回紹介した論文は、妊婦さんの人数がそれほど多くないですし、早産率に関しては国によってまちまちなので、日本での確実なデータとして考えるのには問題がありますが、それでも子宮奇形がある場合には、早産になる可能性を考えて、注意深く診察をしていく必要があると言えます。