平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

医学部に合格した勉強方法

私自身、文系科目が本当に苦手です。

現代文なんて、筆者の気持ちなんて全くわかりませんでした。

答えを読んでも、本当にそれが正解なのか理解できない世界でした。

地理なんて、何の根拠もない、ただ1対1に繋がっているだけの文字の羅列を覚えるのが本当に苦手でした。


でも、数学や物理、化学は違ったんですよね。

最低限度の知識を覚えたうえで、あとはそれを駆使して問題を解いていく。そういう過程が楽しかったのです。

そして、たとえ間違えたとしても、解答を見れば「そうやって考えるのか」と納得できたので、自分にはとても向いていました。


もっとも、医学部に入って、医者を目指すうえで、数学・物理・化学の知識が必要かというと・・・



それはさておき、医学部に入学するためには受験勉強を頑張るしかありませんし、数学や物理、化学の道は避けて通れないと思うので、その勉強方法をまとめてみたいと思います。


私自身の勉強方法は、数学も物理も化学も同じで、


パターンを覚えるまで解く


というものでした。


東大医学部や京大医学部になってくると、さすがにパターンだけでは太刀打ちできないと思うのですが、その他の医学部であれば、パターンさえ覚えてしまえば何とかなると思います。


そのために、一つの問題の解き方をある程度理解した後は、似たような問題をひたすら解き続けます。

100%理解してから解こうとすると結構つまづくので、8割がたの理解で大丈夫です。

あまりに理解できないときは、もう解答を見ちゃいます。そして、解答を覚えます。とにかく解き方を覚えてしまいます。

そうしていると、不思議と「そういうものだ」と理解が深まっていき、いつのまにか100%の理解になっているんです。

特にセンター試験レベルであれば、それだけで確実に100点が取れました。


・・・センター試験、廃止になるみたいなので、あまり参考にはならないですかね。



でも、基本を覚える、という点では、その勉強のやり方は間違ってないと思うのです。


物理の摩擦係数とか、化学のモル計算とか、「なんでそうなってるの?」って突き詰め始めると、訳が分からなくなってきます。


ですので、「そういうもの」と一旦あきらめて、ひたすら問題を解くしかないのです。

そうやってパターンをつかんでしまえば、問題を見ただけで、細かい計算より前に、「解き方」がすらすら出てくるようになります。

その段階になると、わざわざ問題を計算して解く必要はありません。時間がかかってしまうので、「これとこれをこうやって」と頭の中だけで問題を解くシミュレーションをざっとして、さっさと解答をみて答え合わせをすればいいのです。

これで問題を解くスピードが上がっていくので、より多くの問題を解くことができます。


いかがでしょうか。

数学とか物理とか化学といった、限られた勉強法ですが、ほかの分野の勉強でも応用が利くと思うので、よければ試してみてくださいね。

胎児エコーの勉強会に出て

先日、豊洲で開かれた胎児エコーの勉強会に出席してきました。


もともと、妊婦健診で胎児を診るのが大好きなので、産婦人科医になってからも、多くの勉強会に出てきました。飛行機に乗って大分まで勉強会に行ったこともあるのですが、やはり「自分から進んでする勉強」というのは楽しいですね。


今回、豊洲の胎児エコー勉強会で学んだことは、妊娠中の胎児スクリーニングの中でも先天性心疾患という赤ちゃんの心臓の異常を見つけましょうというものです。

超音波で赤ちゃんの体を詳しくチェックして、異常がないか確認することを「スクリーニング」と呼んでいます。


妊婦健診というのは、お母さんの体調管理に加えて、赤ちゃんに何か大きな異常がないかを見つけるのがとても大切なのですが、赤ちゃんの心臓に何か大きな異常があった場合、生まれてすぐに対応する必要が出てくるので、場合によっては出産する病院が限られてくる可能性があるのです。


そのため、妊婦健診において「スクリーニング」というのは非常に大切な診察となります。



まず最初に、心臓の構造について少し詳しく説明したいと思います。

心臓というのは、簡単に言うと4つのお部屋に分かれていて、それぞれの部屋に重要な血管がつながっているのですが、その重要な血管に異常が出ることがあり、それを出来るだけ妊娠中に見つけて、出産後の処置にスムーズにつなげる必要があります。


心臓から血液を送り出す部屋を「心室」と言い、左右に1つずつあるので、それぞれを「左心室」「右心室」と呼びます。

「左心室」は全身に血液を送り出す役割をしていて、「左心室」→「大動脈」→「全身」と血液が流れることになります。

「右心室」は肺に血液を送り出す役割をしていて、「右心室」→「肺動脈」→「肺」と血液が流れることになります。


ここで出てきた「大動脈」と「肺動脈」は心臓から出てきて交差するのですが、まれに「大動脈」と「肺動脈」が入れ替わってしまっていて、「心臓」から出てきた太い血管が交差しないことがあります。

この病気を「大血管転位症」と呼びます。100人の赤ちゃんのうち1人の確率で心臓に異常があるのですが、その中の数%が「大血管転位症」という状態になります。もしこれがあると赤ちゃんが産まれた後に苦しくなってしまうので、手術で治す必要が出てきます。


大血管転位症 — 日本小児外科学会



実は、私自身、この病気を妊婦健診で一度だけ見つけたことがあります。

まだ産婦人科専門医になる前の「後期研修医」という立場だったのですが、その頃から胎児エコーには興味があり、勉強会には何度か出席していました。

その勉強の中で、ぜひ見つけないといけないの病気の一つとして、この「大血管転位症」が挙げられていたのです。


さきほど説明したように心臓から出てくる太い血管は交差するので、エコーで血管の交差を確認できれば大丈夫。

全ての妊婦さんに「太い血管の交差があるか」チェックしていました。

本来であれば、スクリーニングの週数が決まっているので、その週数だけスクリーニングすればいいのですが、当時はより多くの赤ちゃんの心臓を診て勉強したかったので、担当した妊婦検診では、全ての週数でスクリーニングをしていたのです。


そして、「大血管転位症」を見つけた妊婦さんは、妊娠後期になって私が初めて診る方でした。

(当時勤めていた病院では、曜日ごとに担当医が決まっていて、妊婦さんはいつでも好きな曜日を選べるシステムだったので、全ての妊婦健診を担当することもあれば、1回しか妊婦健診を担当しない妊婦さんもいたりしました。)


妊娠35週と分娩も近くなっていて、他の先生がスクリーニングしているから大丈夫だろうとは思いつつ、心臓のチェックをしていたのですが、いつもは交差している太い血管がどれだけ診ても交差しません。。。

ずっと並行のまま、伸びていくのです・・・


初めて診た状態だったので、全く自信が持てず、自分の見間違いじゃないかと思い、他の先生も呼んで診てもらったのですが、やはり「大血管転位症」だろうという結果になりました。

その病院では、大血管転位症の赤ちゃんを診ることができないので、そのまま大きな病院に転院してもらって、そちらで出産してもらうことになりました。

赤ちゃんやお母さんにとっては、「心臓の病気」があること自体が大変なことではあるのですが、出来るだけベストな状態でお産を迎えてもらいたい私の立場としては、「見つけられてよかった・・・」と、とても安心したことを覚えています。


それ以来、確率は極めて低いものの、赤ちゃんの心臓の超音波はしっかり診ていかないといけない、と強く思うようになりました。


こういった赤ちゃんの心臓スクリーニングで話題になるのは、昔も今も

「大血管転位症」

が挙げられます。そして、もう一つが

「総肺静脈還流異常症」

という病気です。


「大血管転位症」に関しては、もう見つける自信があります。

ただ、「総肺静脈還流異常症」は何度勉強会に出ても見つける自信がつきません。

実際、講師をされている先生方も、しっかりチェックしていたのに見逃してしまった、という報告をされるほど、見つけるのが難しい病気です。

https://www.shouman.jp/details/4_45_57.html



この「総肺静脈還流異常症」というのは、「大血管転位症」の時に診る血管よりも相当細い血管を診なければならないため、診断をつけるのが本当に難しいのです。


そのため、今回の勉強会では、「総肺静脈」そのものを診るのではなく、「正常な総肺静脈」に比べて、「異常な総肺静脈」があれば、他の太い血管が心臓から離れて見えるので、他の太い血管の位置を診よう、というものです。

その方法を使えば、データ上は「総肺静脈還流異常症」は見逃さなくても済むだろう、その代わり「正常」な赤ちゃんも検査に引っかかってくるだろう、というものですが、ある程度精度の高い検査方法なので、実際の妊婦健診でも使っていきたいと思っています。



ここからは少し現実的なお話を・・・


もともと、こういった胎児超音波の勉強会がなぜ開かれているかというと、産婦人科医にとって「胎児超音波」というのは比較的新しい分野なのです。「超音波」という機械そのものが昔からあるわけではなく、「手術」や「お産」に比べて「上の先生から教えてもらう」機会というのが非常に限られているのが現状です。

そのため、妊婦健診をしている産婦人科医の中でも「胎児超音波」を熱心にしている産婦人科医と、そうじゃない産婦人科医の差が出てきてしまいます。


また、「産婦人科医」というのは、大きく「産科」と「婦人科」と二つに分かれているのです。

「産科」のスペシャリストは妊婦健診や胎児治療などの方面を極めていくことになりますが、「婦人科」のスペシャリストは「子宮癌や卵巣癌」などの腫瘍専門の道を極めることになります。

ただ、実際の臨床では、「産科」のスペシャリストも腫瘍の手術をしますし、「婦人科」のスペシャリストも「お産」や「妊婦健診」をやるのです。

そのため、「婦人科」の道を極めている先生にとって、妊婦健診の中の胎児エコーという分野は、少し苦手な分野になってしまうのです。

でも、妊婦さんにとっては「同じ妊婦健診」なんですよね。


胎児超音波の勉強会を主催されている講師の先生も「そこまで詳しい胎児超音波は要求しません。せめてこれくらいは・・・」という感じで、胎児超音波の普及に努めておられるのが現状です。


ですので、もし妊婦健診を受けている妊婦さんがいましたら、試しに「大血管転位ってないですか?」って聞いてみてください。

胎児超音波が好きな先生なら「お、それ聞きます?じゃぁ、大血管が交差するところ見せてあげようかな」って得意気になりますから。

もし、「大血管転位ってなに?」って先生だったら、、、普段の妊婦健診はその先生でも大丈夫ですが、胎児スクリーニングだけは詳しい病院で受けましょうね。


もちろん、うちのクリニックでも「大血管転位症」はちゃんと診ていますよ。


平和島レディースクリニック

子宮のポリープについて

婦人科を受診した時に


ポリープがあるね


と言われたことはありますか?



普段、外来をしていると、ポリープを指摘されたことのある患者さんが結構います。

ただ、そのポリープがどこにあるかまで把握している人は少ない印象です。


というのも、我々産婦人科医がポリープというときに、それができる場所によって大きく二つに分かれるからです。


ひとつは


子宮頚管ポリープ


というもの。



これは、腟の奥にある子宮の出口部分に出来るもので、不正出血の原因になったりします。見つけた時点で取ってしまうことが多いのですが、根が太い場合には、その場では取れないこともあり、入院して切除することもあります。


そして、もう一つは


子宮内膜ポリープ


というもの。


これは、子宮の奥の子宮内膜という部分にできるポリープです。超音波検査をして初めて見つかるものですが、こちらも不正出血の原因になったりします。

なかなか外来で簡単に取るのは難しいので、入院して切除することが多いですが、次の生理の後に見てみたら、ポロっと取れてしまったのか、無くなっていることもよくあります。


このように、一言で「子宮のポリープ」と言っても、二種類に分かれているのです。


どちらも、基本的には良性のもので、何も症状がなければ放置しておくのも一つの手ではありますが、ポリープが本当に良性のものなのかどうかは、それを取ってきて顕微鏡で見てみないと最終診断が付かないので、取ってしまうことが多いですね。


特にあまり大きくない頸管ポリープであれば、外来で痛みもなく取れますので、そこは負担が少ないと思います。

内膜ポリープに関しては、不正出血の原因になるようであれば取ることが多いですし、不妊症に悩む方も内膜ポリープが悪さをしている可能性があるので、手術で取ることが多いです。


もしも、外来や検診で「ポリープがあるね」と言われたら、子宮のどこにあるのか聞いてみると、その後の流れがわかりやすいので、確認してみてくださいね。

痛くない脱毛、始めませんか

私自身とても髭が濃くて、朝しっかり剃っても、夕方にはうっすら伸びてきて、無精髭が目立つタイプでした。

 

勤務医の頃は、たいてい午前中は外来で、午後からずっと手術だったので、多少は無精髭が伸びてても問題なかったのですが、開業してからは、一日中外来ですので、そうも言ってられません。

 

ということで、開業前にヒゲ脱毛に通ったのですが、まぁ、痛い!!!

 

事前情報では、輪ゴムをパチンっとする程度の痛み、と言われていたのですが、パチンっなんてレベルではありませんでした。

 

麻酔のクリームを塗っているのに

 

 

バチンッ!!!

 

 

っと輪ゴム10本くらい当てられる痛さが続いて、終わる頃には汗びっしょり。

 

そんなわけで、徐々に足が遠のいてしまいました。

 

 

ところが、最近になって、友人が痛くない脱毛を見つけた、と教えてくれました。

 

よくよく聞いてみると、今まで私がうけていた脱毛とは全く違うタイプの機械とのこと。

 

私が受けていた脱毛よりも、より浅い部分にエネルギーを集めるので、その分だけ痛みが少ないようなのです。

 

 

これは試してみるしかない!

 

 

ということで、実際に脱毛クリニックに行ってみると、、、

 

 

桁違い!!

 

 

あんなに痛い思いをしていたのは、何だったんだ、っていうくらい痛みが楽なんです。

 

以前の脱毛は、麻酔クリームを塗って、しっかり麻酔が効いていても相当痛かったのに、こんなにも違うんだ、、、、

 

あまりの感動に、機械の導入を決めました。

 

 

痛みが心配で脱毛に躊躇していた方、脱毛に通ったことはあるけど、痛みで断念した方は、一度試しに来て見てくださいね。

 

脱毛に関する質問や予約は@LINEから受付中です、お気軽にどうぞ。

 

 

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妊娠とボトックス注射について

美容整形がメジャーになるにつれ、妊娠に気づかずに美容整形を受けてしまった、というお悩みが増えてきているようです。


そこで、今回は美容整形の中でも比較的手軽に受けることができる

ボトックス注射


について説明したいと思います。



まず、ボトックス注射というのは、ボツリヌス菌という細菌が作り出す毒素から作られている薬です。


ボツリヌス菌といえば、赤ちゃんがハチミツを食べるとダメ、という話の時に出てくるアレですね。

ハチミツにはボツリヌス菌という細菌が含まれていることがあり、大人であればそれほど問題にはならないのですが、赤ちゃんの場合には命に関わる可能性があるため、赤ちゃんはハチミツを食べてはいけないのです。


そんなボツリヌス菌が作り出す毒素ですが、局所にごく少量注射することで、しわが改善したり、筋肉が小さくなることがわかっています。
そのため、目じりや額のしわに対して注射することで若返ったり、えらの筋肉に注射することで、小顔になる効果が期待できます。


痛みもそれほどないので、気軽に注射をする人が増えてきている、とのことですが、それは世界的にも同じ傾向。
そして、注射をした後に、妊娠に気づいた、という人も増えてきているようです。


そこで、ボトックス注射と妊娠に関する論文を調べてみました。



まず、お母さんの体内に入った薬が赤ちゃんに到達するのかどうか、という話ですが、胎盤には赤ちゃんを守るためのバリアの役割があります。
もの凄く小さいものは、そのバリアを通り抜けてしまうのですが、ある程度の大きさであれば、胎盤のバリアにブロックされて、赤ちゃんには影響がでない、という理屈ですね。

では、胎盤はどの程度の大きさまでブロックできるのか、というと

分子量1000

を超えてくると、ほとんどブロックできると言われています。


では、ボツリヌス菌の毒素の分子量はどれくらいかというと


150000!!!


実に15万の分子量があります。胎盤のバリアから比べると、とてつもなく大きな物質なのです。

このことから、理論上はお母さんにボトックスを注射しても赤ちゃんには影響が出ない、と考えられます。



次に海外のデータになりますが、ボトックス注射の動物実験のデータです。

FDAというアメリカの公的機関が発表している、ボトックスの製品情報内にデータがありました。

https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2011/103000s5236lbl.pdf


妊娠中のウサギやネズミの器官形成期(赤ちゃんに対する薬の影響が最も出る時期)に2回ボトックス注射をしました。

それぞれ、4単位/kg、8単位/kg、16単位/kgという量を投与したのですが、8単位・16単位では赤ちゃんの体重減少や骨格異常が出たものの、4単位では影響がありませんでした。

この「4単位/kg」というのは、人間に換算すると、540単位にもなります。

おそらく美容整形では、10単位、20単位程度の投与と思われるので、まず問題ない投与量と言えるでしょう。


また、0.25単位/kgを13回投与した妊娠中のウサギでも問題はなかった、というデータもあります。

これは、人間に換算すると400単位以上になるので、やはり美容整形では問題にならないレベルでしょう。



次に、実際に妊娠に気づかずにボトックス注射をしてしまった人たちのデータです。


http://www.ijwdonline.org/article/S2352-6475(17)30005-9/fulltext

こちらの論文によると

Hooft et al. (2015)) reported the administration of an intrasphincteric injection of botulinum toxin A at 14 weeks of gestation with no adverse fetal outcomes and otherwise healthy term deliveries.

妊娠14週でボトックス注射をして問題なかったという報告や、


Wataganara et al. (2009)) reported a similar case where botulinum toxin A was injected at 33 weeks of gestation to treat persistent achalasia and subsequent malnutrition.

妊娠33週でアカラシアという病気の治療のためにボトックス注射をして問題なかったという報告、


Robinson and Grogan (2014)) reported on the safe administration of onabotulinum toxin A at 18 weeks of gestation to treat migraine prophylaxis in a woman with refractory migraine headaches. No adverse effects were reported in the infant who was followed for 6.5 years (Robinson and Grogan, 2014).

片頭痛に対して、妊娠18週にボトックス注射をして、子供を6年半追跡しても問題なかった、という報告


Bodkin et al. (2005)) reported two cases of inadvertent botulinum toxin A injection during the first trimester of pregnancy in patients who were treated for cervical dystonia. One patient who had a prior history of miscarriages had a miscarriage at 10 weeks at which time she was noted to have a twin pregnancy (Bodkin et al., 2005).

一方で、筋緊張症に対して妊娠初期にボトックス注射をした2名のうち、1名は双子を妊娠していて、妊娠10週で流産した、という報告もあります。

Newman et al. (2004)) reported the case of a woman with severe cervical dystonia who was treated with botulinum toxin injection throughout four consecutive pregnancies. No complications were reported with the delivery or health of any of her four children (Newman et al., 2004).

こちらの報告では、同じく筋緊張症に対してボトックス注射をしていた方が、妊娠中も注射を継続し、4人のお子さんを出産したものの、何も問題はなかった、とされています。


Two cases of cosmetic use of botulinum toxin were reported by de Oliveira Monteiro (2006)) in two women at 6 and 5 weeks of gestation with no fetal adverse events.


こちらは、妊娠5週と6週にそれぞれボトックス注射をした2名の方は、2人とも元気な赤ちゃんを出産した、という報告です。

A 2006 survey of 900 physicians that was conducted by Morgan et al. (2006)) ascertained that 12 physicians had experiences with incidental botulinum toxin injection in 16 patients who were pregnant. Only one patient with a history of spontaneous abortions experienced a miscarriage after injection of botulinum toxin (Morgan et al., 2006). There is concern that high doses (>600 U) of onabotulinum toxin is associated with cases of systemic weakness (Lee et al., 2013). However, doses that are used in cosmetic procedures are usually less than 100 units.

16人の妊婦さんが妊娠中にボトックス注射をしましたが、そのうち1名だけが流産しているものの、その方は600単位のボトックス注射をしており、美容整形で注射する量に比べれば、相当量が多い方でした。



以上のように、妊娠中のボトックス注射に関しては、いくつもの報告がありますが、



胎盤を通過できないような分子量の大きさ


であったり、


明らかに赤ちゃんに悪い影響が出ると結論づける論文はないこと


などから、妊娠に気づかずに美容整形でボトックス注射を受けていても、ことさら心配することはない、と言えるでしょう。