ピルってどんな種類があるの?
生理痛の為にピルを飲んだり、避妊目的でピルを飲んだり、目的は様々だと思いますが、それぞれのピルにはどのような特徴があるのかまとめてみました。
保険適応で飲めるピルとしては、
ルナベルLD
ルナベルULD
ヤーズ
避妊目的など、自費でピルを飲む場合は
などが挙げられます。
ルナベル
ルナベルLDとは、もともと「ルナベル」という名前で処方されていたピルです。
そのルナベルLDから、ホルモン量を変えたものが2013年から発売され、新しく発売されたものが、ルナベルULDというものです。
新しく発売されたものが、ULDという名前になったため、自動的に元からあったルナベルがルナベルLDという名前に変わりました。
大きな違いは副作用です。
ULDになることで、嘔気の副作用が軽減された代わりに、不正出血の確率は上がりました。
ですので、嘔気を軽く済ませたいならULD、不正出血を少なくしたいならLDを選ぶことになります。
また、確実なデータは出ていませんが、ULDの方がホルモン量が少ないため、理論上はULDのほうが血栓症という副作用は起きにくいと考えられています。
ヤーズ
そもそもピルというのは、EとPという2種類のホルモン剤を合わせて作られています。
そして、Pには様々な種類があるのですが、どれもわずかながら男性ホルモンのような作用を持っているのです。
ただし、このヤーズは、男性ホルモン作用を抑える働きを持っています。
男性ホルモンを抑えるということは、ニキビを抑える効果につながります。
実際に海外では、ニキビに対する治療薬としてヤーズが認められています。
そのため、ルナベルで肌荒れがひどくなった、という方はヤーズを試してみましょう。
トリキュラー
こちらは、1シートに含まれる錠剤の中で、ホルモン量が段階的に変化し、より自然な形に近づけようとしているため、不正出血が比較的少ないと言われています。
マーベロン
こちらは、1シートに含まれる錠剤がすべて同じホルモン量となっています。そのため、やや不正出血が多くなりますが、男性ホルモン作用が低いため、ニキビができにくいメリットがあります。
肌荒れ、という点ではルナベルよりヤーズに軍配が上がりましたが、同様にトリキュラーよりマーベロンの方が肌荒れにはいいでしょう。
副作用に関しては、上記のような違いがありますので、ピルの種類を選ぶ際に参考にしてみてください。
なお、保険で飲めるルナベル・ヤーズと、自費で飲むトリキュラー・マーベロン、単純に毎月の負担が違うだけではありません。
保険が使える、ということは、万が一、その薬で副作用が出たときに、その治療に要したお金はすべて国が払ってくれる、ということなのです。
滅多に副作用は出ませんが、重い副作用が出たときのことを考えると、保険で飲めるのであれば、保険適応のピルを飲んでおきたいですね。
避妊目的でのピルは保険適応になりませんが、生理痛で悩んでいる方は保険適応で処方できますので、受診して相談してくださいね。
ちなみに、ルナベルLDにはフリウェルというジェネリックが発売されました。
金額的には、1ヶ月で1000円ほど安くなりますので、ルナベルLDで調子がいい方は、フリウェルに変えてみてもいいと思います。
低用量ピルを飲んで血栓症になるリスクについて
低用量ピルに関する論文を見つけたので、今日はその論文について解説したいと思います。
低用量ピルによる肺塞栓、脳卒中、心筋梗塞のリスク 500万人のフランス人女性に対する研究
Low dose oestrogen combined oral contraception and risk of pulmonary embolism, stroke, and myocardial infarction in five million French women: cohort study
2010年7月~2012年9月において、ピルを服用した15歳~49歳の女性500万人を対象に調査した論文です。
論文の対象となった人
対象となる女性は、癌にかかったことがある人や、肺塞栓・心筋梗塞・脳卒中にかかったことのある人、慢性疾患にかかっている人は除かれています。
ピルを服用している544万3916人のうち、3253人に血栓症の副作用がありました。内訳は、肺塞栓が1800人(10万人中33人)、脳卒中が1046人(10万人中19人)、心筋梗塞が407人(10万人中7人)でした。
確率で言うと、0.06%と非常に低い確率で血栓症が起きています。
ピルの種類について
低用量ピルというのは、簡単に言うとEとPという二種類のホルモン剤を混ぜ合わせた薬なのですが、EとPの種類や用量によって、リスク分類をした結果・・・
Eは全て同じ種類で、20μgという量と、30-40μgという量で比較しています。
Pは用量での比較ではなく、種類の違いで比較しています。
デソゲストレル、ゲストーゲン、レボノルゲストレルという三種類のPについて比較しました。
まずは、同じPを使っている場合
Eが30-40μgに比べて、20μgしか使っていない場合は、肺塞栓は0.75倍、脳卒中が0.82倍、心筋梗塞が0.56倍と、Eが少ない方が血栓症の副作用は低いことがわかりました。
次に、Eの量が同じ場合
デソゲストレルとゲストーゲンはレボノルゲストレルと比べて肺塞栓は1.5~2倍になりました。
レボノルゲストレルに限定すると、Eの量が30-40μgより20μgの方が、明らかにリスクが低くなりました。
結局どういうこと?
同じ量のEを使っている場合、デソゲストレルやゲストーゲンより、レボノルゲストレルの方が、肺塞栓の確率は低い結果となりました(脳卒中や心筋梗塞は変わらず)
日本で発売されている薬ではどうなの?
メジャーな薬として、ルナベル、ヤーズ、トリキュラー、マーベロンを検証します。
ルナベルにはLDとULDがあり、LDはE:35μg ULDはE:20μg と、Eの量が変わっています。Pは、ノルエチステロンという種類です。
上の論文でも記載してあるように、Pの種類が同じなのであれば、Eは少ない方が血栓症の確率は低いはずなので、ULDの方が血栓症のリスクは低いだろうと思われます。
ヤーズは、E:20μgと低用量ですが、Pの種類がドロスピレノンと言って、上の論文では検証されていません。
トリキュラーは、E:30μgと、Pはノボノルゲストレル
マーベロンは、E:30μgと、Pはデソゲストレルになっています。
具体的に血栓症のリスクを比べてみた
トリキュラーで肺塞栓、脳卒中、心筋梗塞が起こる確率を1とした場合、
ルナベルLDでは、肺塞栓:0.56 脳卒中:0.85、心筋梗塞:0.97
マーベロンは、肺塞栓:2.18 脳卒中:0.80 心筋梗塞:0・75
となっています。
数字だけ見ると、ルナベルLDが一番血栓症の確率は低そうです。
また、Eは少ない方が血栓症の確率は下がると思われるため、ルナベルLDよりULDの方がリスクは低いと言えそうです。
これらの血栓症の確率は、1万人に2人とか3人のレベルでのお話しですので、そこまで劇的に変わるものではありませんが、血栓症以外の副作用が特に変わらないのであれば、より血栓症のリスクが低い薬を選びたいですね。
コンジローマっていうイボができました
陰部に出来物ができた、という患者さんが時々いらっしゃいます。
毛嚢炎という、毛穴にバイ菌が
入ったものだったり、粉瘤といって
皮脂が袋状にたまるものの事が多いの
ですが、たまに
コンジローマ
というイボができる方がいます。
今回は、このコンジローマについて説明
したいと思います。
コンジローマの原因
HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスに感染することで発症します。
HPVにはどうやって感染するの?
主に性行為(セックス、アナルセックス、オーラルセックス)によって感染しますが、乳幼児や性行為のない高齢者に
みられることもあります。
直接接触することで感染するので、入浴中に親のコンジローマの部分に接触して
子供にうつってしまうことも稀にあります。
このコンジローマ、だれにうつされたの?
HPVに感染してから、実際にイボができるまでは平均して3カ月かかりますが、3週間で出来る人もいれば8カ月経ってから出る人もいて、いつ感染したのかわからないことがほとんどであり、その期間に複数の人と性行為をしていれば、犯人を見つけることは困難です。
どんな症状があるの?
まれに、痒みを訴えて受診される方はいますが、基本的にコンジローマは症状が何もないことが多いです。
どうやって治療するの?
塗り薬による治療と、外科的な治療があります。
塗り薬はべセルナクリームという薬を使うことが多いです。
これは、やや強めのお薬で、正常な皮膚に付くと赤くなってしまうため、できるだけコンジローマだけに塗るようにすることと、毎日使うのではなく2日に1度の使用にとどめる、しっかり洗い流すなど、注意点がいくつかあります。
こちらを最低でも2週間、最長だと16週間は使うことになりますが、あまり治療が長引くようだと、外科的治療をおススメします。
外科的な治療としては、液体窒素で凍らせたり、電気メスで焼いたり、レーザーで焼いたりと、病院によって様々な方法があります。
ちゃんと治療したら再発はしないの?
塗り薬や外科的な治療でイボがなくなったとしても、3カ月以内に約3割の人が再発します。
半年ほどしてから再発する方もいますが、1年間再発しなければ完治と言えます。
コンジローマ自体、早めに治療すればするほど、治療期間が短くて済みますし、必ず治せる病気です。
自然治癒することもありますが、あまり数が多くなってから治療しようとしても大変ですので、心配なイボがあれば、早めに受診してくださいね。
ミレーナを使っている人の感想をまとめてみました。
前回、ミレーナの感想をまとめてから
半年くらい経ったので、またミレーナ
を使っている人の感想を集めて
みました。
それでは、何名かミレーナを使われて
いる方のブログを紹介いたします。
こちらは、もともとピルを服用されて
いた小児科Dr.ですが、40歳を超えた
ことをきっかけに、ミレーナに変更された、
とのこと。
ピルは血栓症のリスクがありますので、
どこかでミレーナに変更するのは
一つの選択肢としてありですね。
こちらは、生理痛や生理の量が多いことに
対して、ミレーナを使われている方です。
ミレーナを入れる際に、強い痛みが一瞬
あったようですが、入れた後は、生理痛は
なくなり、出血も激減して大満足のご様子。
こちらの方は、生理の量が多くて
ミレーナを使われている様子。
入れた後3日目までの報告ですが、違和感と
出血が少し続いているようですね。
入れる時の痛みと、そのあとの違和感や、
少量の出血という副作用はあるものの、
生理痛や生理の量が減ることによる
メリットはかなり大きいので、
ミレーナ、おススメです。
卵管が腫れてるって言われたことありますか?
以前、卵巣が腫れていることについて説明したことがありました。
今回は、卵巣ではなく、卵管が腫れている場合について説明したいと思います。
まず、基本的な説明になりますが、卵巣というのは子宮の真横についている親指くらいの大きさの臓器で、いわゆる女性ホルモンを出している場所になります。
そして、その真横についているのが卵管という管。妊娠する際に、卵子と精子が出会う大切な通り道になるんですね。
この卵管という管が腫れてしまうことがあるんです。原因としては、以前お話ししたクラミジアであったり、子宮内膜症であったり、そういったことが原因で癒着してしまって、卵管の中に水が溜まってしまうことがあります。
多少卵管に水が溜まる程度であれば、たいして問題にはならないのですが、ものすごく腫れてしまった場合には痛みが出る場合もありますし、そこにバイ菌が入ってしまった時には、熱が出たりお腹が痛くなったりします。
そして、一番嫌なのが不妊症の原因になったり流産の原因になったりするのです。
不妊症の原因になってしまうのは以前説明したのですが、せっかく妊娠できても、卵管に水が溜まっているせいで流産してしまうなんて辛いですよね。
理由としては、卵管の中にたまった水が子宮の中に逆流してしまって、せっかく受精した卵が子宮の中に着床するのを邪魔してしまう、っていう説があったりします。
実際に、水が溜まっている卵管を切除することで、卵管に水が溜まっていない人と同じくらいの妊娠率に改善したという報告もあり、もし妊娠前に卵管に水が溜まっていることが判明していれば、外科的に卵管を取っちゃうことも考えた方がいいと思われます。
卵管に水が溜まっているかどうかは、内診台に上がってもらって超音波をすればわかることが多いので、積極的に妊娠を考えている方は一度検査を受けてみてくださいね。