平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

お産の痛みってなんとかならないの?

最近よく外来でたずねられるのが、

無痛分娩できますか?


ということ。



確かにお産の時の痛みに対して痛みを楽にできるなら、そっちを選びたいですよね。



残念ながら、私が勤務してきた病院では無痛分娩はやってませんでした。


それには、いくつか理由があります。


ひとつは、人手が足りない、ということ。

こうしてブログを書いているのも、普段の外来では、とても患者さんに説明しきれない内容が沢山あるからなんですが、外来の患者さん一人当たりに使える時間がとても少ないのです。


しかも、外来が終わったら続けざまに手術が入ることもあります。


外来から手術室に移動するほんの数分の間にウィダーを飲んで、そのまま手術に突入なんてことも珍しくありません。


そんな状況で、さらに無痛分娩までやることになると、とてもじゃないけど手が足りないんです。



・・・っていうのは完全にこちらの都合なんですけど、もうひとつ無痛分娩をやりたくない理由があります。



それは、無痛分娩をすると、お産の時間が長くなって、その間に赤ちゃんの具合が悪くなって、急いで赤ちゃんを出してあげないといけない確率が上がっちゃう、ってことなんです。



吸引分娩とか鉗子分娩ってお聞きになったことはあるかもしれませんが、もうすぐ出てきそうな赤ちゃんの頭にカップをつけて頭を引っ張ったり、赤ちゃんの頬のあたりに鉗子という金属のヘラみたいなのを付けてぐぐぐーって頭を引っ張ったり。



もちろん、赤ちゃんが苦しい時には急いで出してあげないといけないのでこういった分娩方法を選ぶのですが、そういった分娩方法そのもので赤ちゃんが傷つく可能性もあるわけでやらないで済むならやりたくないんですね。



なので、無痛分娩をすることで逆に赤ちゃんにストレスを与える確率が増えるのなら、できれば選びたくない、という理由から無痛分娩には消極的になっているわけです。



もちろん、無痛分娩をしたからといって吸引分娩や鉗子分娩の確率が飛躍的に上がって、その結果赤ちゃんが傷つく可能性がめちゃくちゃ高いって訳ではないんですけどね。