平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

妊娠中のインフルエンザ治療

インフルエンザが流行してきて、妊娠中にインフルエンザにかかる方も増えてきました。

 

近くの内科を受診されて、薬を出される妊婦さんから「この薬を飲んでいいか、かかりつけの産婦人科に確認してね」と言われて、問い合わせが入ることがあるので、今回は妊娠中のインフルエンザ治療薬についてまとめてみたいと思います。

 

最もよく使われているインフルエンザ治療薬としては、タミフルリレンザという薬が挙げられます。

アメリカのCDCという政府機関もインフルエンザ症状に対して、妊婦さんへの使用を勧めています。

 

日本国内でも、国立成育医療研究センターという非常に信頼性の高い所から、タミフルリレンザが比較的安全であると発表されています。

 

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/h1n1.html

 

 

タミフル

妊娠初期にタミフルを内服した妊婦さん90名のうち、3人が自然流産、1人が中絶、86人が無事に出産し、そのうちの1人に先天異常が見られましたが、それはタミフルを飲んでいない妊婦さんと比べても、同等の確率でした。

 

調査人数が少ないため、これだけでタミフルが胎児へ全く影響がない、とは言い切れませんが、一般的な先天異常発生率を大きく上回る事は無さそうだと考えられます。

 

長期的な発達に関する影響は、発売されてからの期間が短いため、今後の調査結果が待たれる所です。

 

リレンザ

吸入薬のため、使用しても母親の血液中に移行する量は非常に少なく、わずかな期間使用したとしても、赤ちゃんに重大な影響が出るとは考えにくいです。

 

また、イナビルという薬に関しても、112名の妊婦さんが使用して、妊婦さんにも胎児にも有害な事は起きなかった、という論文があります。

 

こういった抗インフルエンザ治療薬を、症状が出てから48時間以内に使用する事で、発熱期間は1〜2日は短縮し、重症化を予防することができると言われています。

 

以上より、インフルエンザ症状が出た場合には、早めに受診して薬を使用するようにしましょう。

 

中には妊婦さんのインフルエンザは診れないという病院もあるため、受診前に電話で問い合わせることもお忘れなく。