平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

腹筋しすぎたら子宮が出てきちゃう??

ダイエットは永遠の課題ですが、個人的には筋トレが一番ラクかなと思っています。


ランニングやウォーキングは時間がかかるし、やっている間はカロリーが消費されますが、お休みしている間はカロリー消費されません。


その点、筋トレは週に3回程度のトレーニングで大丈夫。テレビを見ながらでも出来るし、トレーニングしていない間も筋肉による基礎代謝が期待できるので、どんどんカロリーが消費されるのです。


ランニングやウォーキング自体が楽しい、という方はそちらをおススメしますが、ダイエットのために走る!という義務感があると長続きしません。

義務感で1時間過ごすよりは、筋トレを10分程度やる方が、よほど楽ですよね。

ダイエットに必要なのは長続きすることですから、ご自分にあった方法を選んでもらいたいと思います。



ということで、最も有効な筋トレは腹筋やスクワットです。


obgyne.hatenablog.com


以前も筋トレをおススメしていたのですが、「筋肉をつけたら太くなる」と心配するのは止めましょう。


筋肉をつけるのはかなり大変です。そして、筋肉がつけば、自然と体全体の脂肪が減って、やせています。

しかも、筋トレを止めれば、あっという間に筋肉は細くなります。



ただ、一点だけ注意があるとすれば、腹筋について。


背筋も同時に鍛えないと腰を痛める、というのは聞いたことがあると思いますが、婦人科医として少し気になるのは

子宮脱


という状態です。

20代~30代の方であればまず大丈夫ですが、60歳前後から少しずつ心配になってくる病気です。



子宮というのは本来は腟の奥に収まっているのですが、子宮を支えている靭帯が弱くなってくると、どんどん腟の中に下りてきてしまって、最終的には腟の外に子宮が出てきてしまうのです。


特に、田舎で農作業をしている女性に見られる状態で、重いものを持つときにお腹に力を入れることが子宮脱の原因になるのです。


お腹に力を入れると、その力の逃げ場が腟の方に向かってしまって、子宮がどんどん腟の方に押し出されていくんですね。


完全に子宮が外に出てしまうと、股の間に子宮が挟まって歩きにくい状態になってしまいますし、出血の原因にもなります。


そこまで行かなくても、腟の中に子宮が下りてくると、「何となく違和感がある」という症状で受診されることもあります。



ですので、そういった状態を防ぐためには「お腹に力を入れる動作は禁止」ということになります。



60歳前後の方に多い、という話をしましたが、まれに出産が原因で子宮が下りてきてしまうこともあります。


本当に子宮が外に出てしまうと、手術をするか、腟の中にリングをいれて子宮が下りてこないようにブロックすることになりますが、軽く下りてくる程度であれば、「筋トレ」をすることで改善が期待できます。


その「筋トレ」は腹筋ではありませんよ、腹筋は逆効果ですからね。


子宮が下りてくるのを防ぐ筋トレは、

骨盤底筋運動


というものです。


簡単に言うと、おならが出そうになった時に我慢する動きが、それに当たります。

ですので、1日に何回もおならを我慢する動きをすれば、それが筋トレになるんです。



もしも、出産を機に腟の中に違和感がある、という方がいれば、この骨盤底筋運動を試してみてくださいね。


ダイエット目的であれば、腹筋は逆効果なので、スクワットをしましょう。