現役産婦人科医の時間外診療

平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

妊娠してもタバコを吸う方へ

妊娠したけど、タバコが辞められない方に向けて、以前ブログを書きました。

obgyne.hatenablog.com


今回は、もう少し踏み込んで、タバコを吸うと赤ちゃんにどういう影響が出るのか、詳しく書いていきたいと思います。




喫煙者の方は、流産率が

2倍

受動喫煙の方ですら、流産率は

1.6倍

になります。

(George L, ea al.: Environmental tobacco smoke and risk of spontaneous abortion. Epidemiology 2006;17:500-505)



そのほかには

前期破水が1.67倍

前期破水:37週までに破水してしまって、早産に繋がる可能性が高くなります。

頚管無力症が1.63倍

頚管無力症:子宮の出口である「頚管」の力が弱く、これも早産に繋がる可能性が高くなります。

切迫早産が1.38倍

切迫早産:子宮が何度も収縮し、子宮の出口が開いてきて、赤ちゃんが早産になりそうな状況です。

常位胎盤早期剥離が1.37倍

常位胎盤早期剥離:赤ちゃんが産まれる前に胎盤が剥がれてしまい、お母さんも赤ちゃんも危険な状態になります。

妊娠高血圧症候群が1.2倍


になります。

(Hayashi K,et al.: Smoking during pregnancy increases risks of various obstetric complications:a case-cohort study of the Japan Perinatal Registry Network database. J epidemiol 2011;21:61-66)


次に、赤ちゃんへの直接の影響です。


口唇裂・口蓋裂、先天性心疾患、手足の欠損、腹壁破裂などが増えます。


口唇裂・口蓋裂が1.28倍

先天性心疾患が1.09倍

手足の欠損が1.18~1.26倍

内反足が1.28倍

肛門閉鎖が1.2倍

腹壁破裂が1.5倍

になります。

(Hackshaw A,et al.: Maternal smoking in pregnancy and birth defects: a systematic review based on 173 687 malformed cases and 11.7 million controls. Hum Reprod Update 2011;17:589-604)

また、喫煙により

死産率が2倍

新生児死亡率が1.8倍

になるのですが、

妊娠初期に禁煙すると死産率・新生児死亡率は非喫煙者と変わらない

という結果になるのです。

(Wisborg K,et al.: Exposure to tobacco smoke in utero and the risk of stillbirth and death in the first year of life. Am J Epidemiol 2001;154:322-327)


発達異常(注意欠陥多動性障害)の確率が2倍

になる、というデータもあります。

(Melchior M,et al.: Maternal tobacco smoking in pregnancy and children's socio-emotional development at age 5: The EDEN mother-child birth cohort study. Eur Psychiatry 2015;30:562-568)


乳幼児突然死症候群が2.5倍


になる、というデータもあります。

(Ridolfo B and Stevenson C. Quantification of drug-caused mortality and morbidity in Australia, 1998. Drug statistics series no. 7, AIHW cat. no. PHE 29.Canberra: Australian Institute of Health and Welfare, 2001.)





妊娠中の喫煙には、これだけ多くの影響があるのです。


漠然と「タバコはダメ」と思っていた気持ちに、より実感が沸いたのではないでしょうか。


どうしても、タバコが辞められない方、今回のブログと


obgyne.hatenablog.com


を何度も読んでくださいね。