平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

クラミジアって性病が何故怖いか

クラミジアってお聞きになったことはあると思います。

いわゆる性病ですので、外来でも検査の結果、「クラミジアにかかってますよ」とお伝えすると、少なからずの方はショックな表情をされます。

もちろん、中には「あー、クラミジアね、はいはい」って常連さんもいらっしゃるのですが。


このクラミジア、正直エイズみたいな怖さはないです。だいたいは飲み薬を飲むだけでよくなります。

しかも、仮にクラミジアにかかっていても、痛みが出ることも少ないですし、自覚症状がほとんどでなくて、全然気づかれないことも多かったりします。



けれど、この症状が少ないっていうのが、逆に怖いんですね。

何かしら症状があれば受診のきっかけになるんですが、症状がない以上、かなりの方が気づかずに感染している可能性が高いわけで。



ですので、こちらとしても「クラミジアに感染している可能性はありますか」って聞かれても、「検査してみないと何とも言えない」っていう言い方になってしまいます。



それで、このクラミジア、放置しておくと何が怖いかというと、、、

不妊症


の原因になりえるんです。


クラミジアっていう菌がお腹の中に入ると、癒着という現象を起こします。

これは、もともとくっついてない組織と組織がペタペタくっついちゃう現象です。

癒着が一度起こると、お薬で治療することはできません。

外科的に手術をして癒着を剥がすしか方法がないのです。

しかも、手術そのものが癒着の原因になったりもするので、癒着というのは本当に厄介者です。

もし、飲み薬で癒着の治療薬ができればノーベル賞ものです。それくらい癒着は面倒なものなんです。


で、クラミジアのせいで卵管が癒着してしまうと、卵管の通りが悪くなって、妊娠しづらい原因になるのです。


卵管っていうのは、子宮からお腹の中へ出ている2本の管なんですが、卵巣から排卵された卵子が精子と出会う大事な通り道。

ここがふさがってしまうと、自然妊娠は無理になってしまうんです。

ですので、卵管というのは非常に大事な臓器なんですが、クラミジアのせいで、この通り道が塞がってしまうんです。


つまり、クラミジアに感染したまま、長期間放置していると不妊症の原因になるのです。


卵管が閉塞するのは、クラミジアだけに限らず、子宮内膜症がひどくなった場合にも起こり得るので、クラミジアはもとより、子宮内膜症もあまり長期間放置しておくのは避けたいところです。



クラミジアの検査自体は、内診台にあがってもらって、子宮の出口を少し綿棒でこすればあっという間に終わる検査ですので、あまり怖がらずに受けてもらえると思います。

治療に関しても、内服薬を飲むだけでよくなることがほとんどですので、少しでも心配なことがあれば、産婦人科で相談してくださいね。