妊娠したんだけど、子宮の中に赤ちゃんの袋が見えないよ
以前、子宮外妊娠について説明したのですが、今回は具体的にどういった治療法があるか説明したいと思います。
まず、実際に子宮外妊娠がどのように診断・治療されていくか説明したいと思います。
子宮外妊娠を疑うきっかけとしては、生理が遅れていて、妊娠反応が陽性に出るのに、子宮の中に赤ちゃんが入る袋が見えない時ですね。
もちろん、妊娠ごく初期なだけで、1週間ほどすれば子宮の中に赤ちゃんの袋が見えてくることも多いです。
また、妊娠したんだけど、流産してしまっていて、子宮の中に赤ちゃんが入る袋が少し残ってしまっていることもあります。
この場合は、明らかに子宮の中に妊娠しているのかどうか、超音波ではハッキリわからないこともあります。病名としては不全流産と呼ばれます。
その他に、妊娠に伴うホルモンだけが分泌されて、実際には赤ちゃんの袋ができてこないこともあります。
これは化学流産と呼ばれていて、流産という名前がつくものの、流産の経験回数には入れないことになっています。
以上のように、子宮の中に赤ちゃんの袋が見えない時は、正常妊娠のごく初期の段階、不全流産、化学流産、そして子宮外妊娠という可能性が出てくるのです。
この中で、やはり子宮外妊娠だけは一番に否定しておきたいところ。
妊娠しているとは言え、子宮の外ですので、赤ちゃんが育つ事はできません。
それどころか、袋がどんどん大きくなって、破裂して、お腹の中で大出血する危険があるのです。
そのため、早く診断をつける必要があります。
子宮の外で最も妊娠しやすい部分が卵管で、卵管がものすごく腫れていたり、それなりに出血していれば、わかりやすいのですが、微妙に卵管が腫れている程度では、どんなに超音波をしっかりしても、卵管に妊娠しているのかどうかわからないこともあります。
そのため、採血や尿検査で妊娠に伴うホルモンの値を調べることになります。
このホルモンの値がすごく低ければ、正常妊娠のごく初期であったり、不全流産や化学流産の可能性が出てくるのですが、ホルモンの値がすごく高いのに、子宮の中に袋が見えないと、その時点で子宮外妊娠を強く疑うことになります。
ただ、不全流産でホルモン値が高いこともありますので、まずは子宮内容除去術といって子宮の中に残っているかもしれない妊娠成分を外に出してあげて、それでホルモン値が下がってくるかどうかを確認します。
ホルモン値が下がって来れば、不全流産ということで経過を診れるのですが、値が下がってこない場合は、やはり子宮外妊娠が強く疑われるため、厳重に経過を診ないといけなくなります。
では、実際に子宮外妊娠をどのように治療していくかについては、またの機会に説明したいと思います。