平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

女性アスリートと疲労骨折について

以前、無月経からくる問題として骨粗しょう症がある、と説明しましたが、今回は女性アスリートにとっての生理の大切さを説明したいと思います。



女性トップアスリートの4割近くに月経異常があり、1割近い選手に骨折の経験があると言われています。


また、無月経によりエストロゲンという女性ホルモンが低下している選手では、疲労骨折の発生割合が高いことが示されています。


エストロゲンが20pg/mlより低かったアスリート27人中、疲労骨折を起こした選手は10名(37%
一方で、エストロゲンが20pg/mlより高かったアスリート19名中、疲労骨折を起こした選手は3名(15.8%)と、明らかにエストロゲンが低いほど、骨折しやすいことがわかります。


エストロゲンが低いだけで4割近い選手が疲労骨折しているとは、ショッキングな結果ですね。



体脂肪率が15%以下になると半数以上の人は月経異常になり、10%以下になるとほとんどの人が無月経になるため、体重コントロールというのがとても大切になってきます。

おそらく体脂肪率が低ければ低いほど、競技パフォーマンスが上がる、という難しい問題があるとは思いますが・・・


ただ、疲労骨折を最もしやすい年齢が16歳くらいと言われており、その年齢で将来的なことを判断するのは難しいため、周りの大人がしっかりと考えてほしいですね。


疲労骨折の防止のためには、カルシウムやビタミンDが大切ですし、ホルモン治療をしてエストロゲンを補充してあげることも大切になってきます。


10代の女の子では、機能性月経困難と言って、卵巣が腫れてる訳でもないのに、ひどい生理痛に悩んでいることも多いので、低用量ピルを飲んでエストロゲンを補充するのも一つの手になってきます。

トップアスリートの方では、ドーピングの問題もあって、内服する薬を選ばないといけないことが多いですが、基本的に低用量ピルはドーピングにはかからない、と言われていますので、積極的に考えていいのではないでしょうか。


トップアスリートの4人に1人は生理痛で薬を飲んでいるにも関わらず、低用量ピルを使っているのはたった3%とされています。


もっともっと低用量ピルを使ってもらいたいですね。