現役産婦人科医の時間外診療

平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

妊娠中に卵巣が腫れていたら手術するの?

妊婦健診のごく初期にお母さんの卵巣が腫れているのが発見されることがよくあります。


その多くは、妊娠に伴って一時的に腫れただけで、自然に縮んでいくことが多いのですが、まれに自然には縮まずに手術が必要になる場合があります。ある程度大きいと、腫れている部分がグルンっと捻じれてしまって激痛を起こすことがあるのです。

この卵巣腫瘍が捻じれてしまうことを、

茎捻転


といいますが、茎捻転を起こした方はほぼ例外なく救急車で運ばれてきます。で、どんな痛み止めを使ってもよくならなくて、そのまま緊急手術になることがほとんどです。


もし、妊娠していない状態で茎捻転が起これば、それほど迷うことなく手術できるのですが、妊娠中に茎捻転が起きた場合、腹痛が起きている原因を調べるのが非常に困難です。一番怖いのは、

胎盤早期剥離


という状態。赤ちゃんが生まれる段階ではないのに胎盤だけが先にはがれてしまって、赤ちゃんだけではなく、お母さんの命にも関わる事態になってしまいます。もちろん、もう赤ちゃんが生まれていい週数までいっていれば、帝王切開で診断をつけることもできるのですが、そうじゃない場合には、茎捻転を考えて手術をするのか、胎盤早期剥離を考えて手術をするのか、とても判断に迷うことになってしまいます。


ですので、妊娠初期にある程度卵巣が大きく腫れている場合には、ぜひとも手術を受けていただきたのです。


で、実際の手術に関してですが、一昔前までは妊娠中の手術は開腹手術が主流でした。
しかし、最近では妊娠中であっても腹腔鏡という内視鏡手術でも問題がないと言われ始めています。


開腹手術と腹腔鏡手術を比べても、赤ちゃんが実際に産まれる週数や体重、流産率などについて差はないと言われていますし、腹腔鏡手術のほうが入院期間が短くて済むというメリットもあります。


もちろん、いろんな条件で開腹手術になる可能性はありますが、妊娠しているからといって一概に開腹手術になるわけではなく、腹腔鏡手術も十分選択肢として考えられると言えますね。