平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

卵巣癌の治療 新たな幕開け

以前、卵巣癌に関する説明をしたのですが、

今回は、その卵巣癌に対する新たな治療の可能性が

出てきたので、まとめてみたいと思います。


ただし、まだ研究段階で保険で認められている治療では

ないため、もし希望される場合には

かなり高額になってしまいますが・・・


それでも、今回は私自身の勉強も含めて

新たな治療法について書きたいと思います。



今回調べたのは

ニボルマブ


という名前のお薬。



これは、免疫に関係してくるお薬です。


簡単に説明すると、人間の体というのは

体内の悪い成分をやっつける免疫細胞というのが

あります。


当然、がん細胞も体にとっては悪い細胞なので

免疫細胞ががん細胞をやっつけようとします。


しかしながら、がん細胞も自らの命がかかって

いるので、免疫細胞をブロックする壁を

作るのです。


で、今回出てきた

ニボルマブ


という薬は、そのがん細胞が作り出す壁を

破壊するという作用を持っているのです。




で、今回発表された論文では、


再発・進行卵巣癌20名の方に

このニボルマブを投与したところ、


完全奏功2例

部分奏功1例

不変6例

増悪10例

評価不能1例


という結果になりました。


1割の人の癌が消えた、という結果!!


そして、全生存中央値は20ヶ月でした。



これに対して、今まで保険で認められている

抗がん剤では、


全生存中央値は約1年ほど



ですので、今までの抗がん剤よりも

効果が期待できそうです。



もちろん、今回のニボルマブ

今までの抗がん剤を使った患者さんの

年齢だとか、癌の進行具合だとか、

癌の種類だとか、いろんな条件が

異なっているので、一概に有利だとは

言い切れませんが、


少なくとも、今までの治療と遜色ない、

もしくはより有効な治療法として

確立される可能性はありそうです。



ちなみに、気になる費用なんですが、

やはり自費だとかなり高額・・・


今回の論文での使い方でいくと


100mgで70万円する薬を

体重あたり1mg使います。

論文では3mg使う方もいましたが、

あまり大きな差は出なかった様子。


そして、これを2週間に1回注射するのを

4回繰り返して、やっと1セット。

この1セットを最大6セットやります。


ということは、


50kgの人だと、1回35万。


これが、1セットだと4回必要なので、140万。


これを6セットやりますので、

840万


、、、あまり現実的ではないですね・・・