現役産婦人科医の時間外診療

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現役産婦人科医の時間外診療

現役産婦人科医が診察室では説明しきれないことをまとめてみます

先週のお題「今の仕事を選んだ理由」

産婦人科医を選んだ理由


学生時代は、産婦人科医になんか

ぜったいなりたくなかった。

ポリクリという、医学生の頃に

いろんな科を見学する実習でも

産婦人科だけは特別な感じがして、

見学は学生お断りなんてザラに

あったし、とにかく敷居が高かった。



そのくせ、自分が何科に進むか

決める頃、訴訟のリスクが高いことが

言われはじめ、実際、産婦人科

先生が逮捕されることもあった。

後に裁判で無罪が確定していたが、

当時、研修医だった自分にとって

頑張った結果が逮捕なんてありえないと

思っていた。


それでも、スーパーローテーション

いう研修医がいろんな科を回って

研修しないといけない期間が

2年間あった。



そのなかで産婦人科も二ヶ月くらい

回ったのだが、その研修が終わりに

差し掛かる頃になっても、

産婦人科医にはならないと

決めていた。


研修をしてみても

特別な感情は何もわかなかったから。



しかし、最終日にそれはやってきた。

指導してくれていた先生たちの手が

足りず、緊急で帝王切開をしないと

いけなくなった妊婦さんの手術の

助手に指名されたのだ。


それまで、第二助手という、いても

いなくてもいいような立場で

帝王切開に参加することはあったけど、

第一助手というのは初めてだった。


そして、超緊急の帝王切開というのも

初めてだった。


それまで自分が見てきた手術は、当然

出血の量は少ないに越したことは

ないので、少し出血すれば止血操作を

して、という繰り返しだった。


しかし、緊急の帝王切開は違う。

どんなに血が出ていようが、まずは

赤ちゃんを出すことが最優先!


止血操作なんて一切なしに、一気に

お腹を開いて、子宮を切って、

1分そこらで赤ちゃんを出した。



その瞬間、自分は産婦人科医に

なることを決めていた。


こんなにも、文字通り人の命を救える

手術があるんだ、ということに

心の底から感動した。



言い方は悪いけど、50歳、60歳の

大人を救うより、この先80年、

90年という人生を救えることに

より価値があるように思った。



あれから10年近く、本当に切羽詰まった

状態の赤ちゃんを救えたのは数回しか

ないけど、その赤ちゃん達が元気に

楽しい人生を送ってくれれば、

それだけで自分が生まれてきた

意味はあったなと思える。



年寄りくさいけど、自分が存在する

意味を与えてくれる仕事が出来ることに

感謝したい。

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