平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

妊娠反応が陽性に出たら

先日、妊娠反応が陽性に出たからと言って、あまり早く受診しないで下さい、と言っている産婦人科医を見かけました。

 

週数が早い段階で超音波で診ても、まだ何もわからないから、というのが理由のようです。

 

ちょっと待ってください!!!

 

 

「週数が早い」のは受診して初めてわかることですよね。

 

確かに、最後の生理から1ヶ月しか経っていなければ、まだ妊娠4週なので、受診するには早過ぎます。

 

でも、産婦人科医の世界では常識なんですが、「最後の生理」が本当に生理だったかどうかわからないこともあるのです。

 

ただ単なる不正出血であったり、妊娠に伴う初期の出血を「最後の生理」と思ってしまうことは、それほど珍しくありません。

 

もしそうなると、「妊娠4週」ではなく、「妊娠8週」ということになってきます。

 

 

妊娠初期の診察が大事なのは、

 

異所性妊娠

 

一昔前で言う子宮外妊娠を出来るだけ早く見つけなければいけないからです。

 

 

異所性妊娠の多くは、子宮から出ている

 

卵管

 

という細い管に妊娠しています。

 

とても細い管なので、妊娠した赤ちゃんの袋がある程度大きくなると、そこが裂けてしまうのです。

 

赤ちゃんの袋の周りはとても血流が豊富なので、裂けた部分からの出血はとても多くなることがあります。

 

中には、お腹の中で大出血して命に関わることも・・・

 

そのため、産婦人科医は妊娠初期に

 

異所性妊娠

 

の可能性を徹底的に否定しておきたいのです。

 

子宮の中に赤ちゃんの袋が見えれば、ひとまず異所性妊娠の可能性は相当低くなります。

 

(内外同時妊娠と言って、子宮の中にも外にも妊娠している可能性がわずかばかり残るのですが・・・)

 

つまり、子宮の中に赤ちゃんの袋が見えない間は、誰にも状況がわからないのです。

 

ましてや、「最後の生理」から4週間しか経っていないから、「まだ妊娠4週なので診察しても何もわからない」なんて結論付けることは不可能なのです。

 

もちろん、結果的に「妊娠4週で、診察しても何もわからなかった」ということがほとんどです。

 

でも、子宮外妊娠を数多く経験している産婦人科医なら、

 

「受診するのが早すぎるんだよ」

 

とは思いません。

 

「ふぅ、ひとまず破裂の危機は無さそうだけど、まだ子宮の中に赤ちゃんの袋が見えないから油断は禁物だな」

 

と思うものです。

 

ですので、あまり早く受診しても仕方がないな、なんて決して思わず、妊娠反応が陽性に出た時点で受診するようにして下さいね。

 

開業して3ヶ月が経ちました

早いもので、6月に開業して3ヶ月が経過しました。

 

もともと「ゴトウ医院」さんとして

 

診療されていた場所を継承して開業することに

 

決まったのが5月中旬。

 

そこから、2週間で様々な準備を進めて、

 

何とか体裁を整えて、6月1日から診療を

 

開始しました。

 

 

今まで総合病院での勤務医として

 

考えたこともなかったような業務が

 

いろいろあって、薬一つ、検査内容一つ、

 

全て一から決めていきつつ診療をしていたので、

 

なかなか大変だったのですが、

 

やっとスムーズに進むようになってきたかな、という

 

印象です。

 

 

一度受診した患者さんからの紹介で来て下さる方も

 

少しずつ増えてきましたので、何とか地域に

 

貢献できているかな、開業してよかったかなと

 

思っています。

 

 

受診された方、受診しようと思っている方、匿名でも

 

構わないので、何かご意見がありましたら、忌憚なく

 

お寄せ下さい。

 

 

今後も、皆さんに少しでも安心してもらえる

 

クリニック作りを目指していきたいと

 

思います。

 

 

 

 

分娩予定日はいつですか

妊娠初診の方によく聞かれるのが

予定日はいつですか

という質問です。


そこで、今回は分娩予定日の決め方について説明したいと思います。



排卵した日が妊娠0週0日と勘違いされることが多いのですが、


排卵した日は妊娠2週0日と決められています。


ということは、妊娠1週0日はまだ妊娠もしていない・・・

ここは「産婦人科」を学ぶ医学生が一度は疑問に思う部分ではありますが、

そこは突き詰めないでください。。。


排卵日=妊娠2週0日なんですっ!!!


我々、産婦人科医はそのように刷り込まれているのです。



そして、分娩予定日が妊娠40週0日になります。



多くの場合は、生理が始まってから2週間ほどで排卵することが多いので、最終月経を基準に予定日を計算するのですが、これがずれることがとても多いのです。


というのも、生理の2週間後に排卵せず、1週間、2週間遅れて排卵することは珍しいことではないためです。


そのため、最終月経から計算すれば、もう妊娠8週くらいかなぁ、と思って受診されても、診察してみるとまだ妊娠5週くらいの大きさだった、ということがよく起こります。


これは、赤ちゃんの成長が遅いという問題では無く、排卵が遅かった、ということがほとんどなので、あまり心配する必要はありません。


その後、順調に成長してくれれば、それで全く問題ありませんから。



では、排卵が遅れて妊娠成立した場合には、どのように予定日を決めるのでしょうか。


それは、赤ちゃんの体の大きさが、だいたい妊娠8週から妊娠10週くらいの大きさになった時点で、正確な予定日を決定します。



この週数での赤ちゃんの大きさには、個人差がほとんどなく、その大きさから排卵日を大よそ推定することができるので、それをもとに予定日を決めることになります。



ちなみに、この予定日を決める計算ですが、クリスマスだったりバレンタインデーだったり、自分の誕生日と同じ日になったりすると、勝手に一人で感動したりしています。


まぁ、その日に産まれる確率は高くないんですけどね。

妊娠中のお酒について

妊娠中はお酒やタバコがダメだというのは聞いたことがあると思います。

また、このブログでも妊娠とタバコについて取り上げてきました。




そこで、今回は妊娠とお酒の関係について書きたいと思います。


2009年の厚生労働省の調査では、妊娠中に飲酒した経験のある妊婦さんは8.7%、と言われています。



実際にお酒が与える影響は、


先天異常(特異顔貌、多動や学習障害)

胎児発育不全

胎児脳萎縮

妊婦のうつ症状の悪化

乳児に対する虐待感情を持つ可能性


の確率が増えるのです。


これらは、缶ビール1本でも発症のリスクがあると言われているため、やはり妊娠すると同時に飲酒は控えなければなりません。


もちろん、確率が上がるだけで、絶対起きる訳ではないので、妊娠に気づかずにお酒を飲んでいたとしても、中絶を考えるような話ではありません。


ただ、妊娠がわかっているのに、お酒やタバコを続けるのだけは、辞めたいですよね。


こればっかりは、何か「薬」を使って止められるものではなく、辞めるか辞めないか、本人の気持ち次第です。


周りのお母さんで、「妊娠中、タバコ吸ってた」「妊娠中、お酒飲んでた」という方はいると思います。そして、それでも元気な赤ちゃんが産まれてきたことを誇りのように話す人もいるでしょう。


でも、それは違います。


お母さん自身が、「元気な赤ちゃんが産まれてくる」ハードルを高くしてしまって、たまたま、本当にたまたま元気に産まれてきただけのことです。


たまたま、赤ちゃんに何も影響が出なかっただけです。


そして、もしも「妊娠中のタバコ」や「妊娠中のお酒」が原因で何かが起こったとしても、それを他人に自分から話さないだけです。



赤ちゃんの80年、90年の人生がかかっています。


最初のスタートを最高のものにしてあげてください。

腹筋しすぎたら子宮が出てきちゃう??

ダイエットは永遠の課題ですが、個人的には筋トレが一番ラクかなと思っています。


ランニングやウォーキングは時間がかかるし、やっている間はカロリーが消費されますが、お休みしている間はカロリー消費されません。


その点、筋トレは週に3回程度のトレーニングで大丈夫。テレビを見ながらでも出来るし、トレーニングしていない間も筋肉による基礎代謝が期待できるので、どんどんカロリーが消費されるのです。


ランニングやウォーキング自体が楽しい、という方はそちらをおススメしますが、ダイエットのために走る!という義務感があると長続きしません。

義務感で1時間過ごすよりは、筋トレを10分程度やる方が、よほど楽ですよね。

ダイエットに必要なのは長続きすることですから、ご自分にあった方法を選んでもらいたいと思います。



ということで、最も有効な筋トレは腹筋やスクワットです。


obgyne.hatenablog.com


以前も筋トレをおススメしていたのですが、「筋肉をつけたら太くなる」と心配するのは止めましょう。


筋肉をつけるのはかなり大変です。そして、筋肉がつけば、自然と体全体の脂肪が減って、やせています。

しかも、筋トレを止めれば、あっという間に筋肉は細くなります。



ただ、一点だけ注意があるとすれば、腹筋について。


背筋も同時に鍛えないと腰を痛める、というのは聞いたことがあると思いますが、婦人科医として少し気になるのは

子宮脱


という状態です。

20代~30代の方であればまず大丈夫ですが、60歳前後から少しずつ心配になってくる病気です。



子宮というのは本来は腟の奥に収まっているのですが、子宮を支えている靭帯が弱くなってくると、どんどん腟の中に下りてきてしまって、最終的には腟の外に子宮が出てきてしまうのです。


特に、田舎で農作業をしている女性に見られる状態で、重いものを持つときにお腹に力を入れることが子宮脱の原因になるのです。


お腹に力を入れると、その力の逃げ場が腟の方に向かってしまって、子宮がどんどん腟の方に押し出されていくんですね。


完全に子宮が外に出てしまうと、股の間に子宮が挟まって歩きにくい状態になってしまいますし、出血の原因にもなります。


そこまで行かなくても、腟の中に子宮が下りてくると、「何となく違和感がある」という症状で受診されることもあります。



ですので、そういった状態を防ぐためには「お腹に力を入れる動作は禁止」ということになります。



60歳前後の方に多い、という話をしましたが、まれに出産が原因で子宮が下りてきてしまうこともあります。


本当に子宮が外に出てしまうと、手術をするか、腟の中にリングをいれて子宮が下りてこないようにブロックすることになりますが、軽く下りてくる程度であれば、「筋トレ」をすることで改善が期待できます。


その「筋トレ」は腹筋ではありませんよ、腹筋は逆効果ですからね。


子宮が下りてくるのを防ぐ筋トレは、

骨盤底筋運動


というものです。


簡単に言うと、おならが出そうになった時に我慢する動きが、それに当たります。

ですので、1日に何回もおならを我慢する動きをすれば、それが筋トレになるんです。



もしも、出産を機に腟の中に違和感がある、という方がいれば、この骨盤底筋運動を試してみてくださいね。


ダイエット目的であれば、腹筋は逆効果なので、スクワットをしましょう。