平和島レディースクリニック

診察室では説明しきれないことを中心に

クラミジアと淋菌について

クラミジアという性病については、腹痛の原因になったり、放置しておくと、不妊症の原因になったりする、ということは以前のブログでも書いてきました。


そのクラミジアと同じくらい問題になってくるのが

淋菌

という性病です。


クラミジアに比べれば確率は低いのですが、クラミジアと同様に性行為によって感染し、腹痛の原因になったり、オリモノがふえる原因になったり、不妊症の原因にもなったりします。



クラミジアが陽性だった人の1割には淋菌も感染していた、というデータもありますので、性病が心配だからといって、クラミジアだけチェックしていれば安心、という訳にもいきません。

また、クラミジアに感染した人の9割以上は無症状であるため、特に自覚症状がないから、といって安心できるものでもないのです。


疑わしい時には、是非検査を受けましょう。


もしクラミジアが陽性に出た場合には、当然ながら相手の人も同時に検査をして治療しなければなりません。

せっかく自分が治しても、相手が治っていなければ、またもらってしまうからです。



実際の治療ですが、クラミジアは飲み薬、淋菌は注射で治すことになります。

時折、クラミジアと同じ飲み薬で淋菌も治せる、とほかの病院で言われた患者さんが来られることがありますが、クラミジアの飲み薬では効かないタイプの淋菌が増えてきているので、基本的には淋菌とクラミジアの治療薬は全く違うものになります。



どちらの性病も症状があれば治療する気になると思うのですが、全く症状が出ないこともあるが怖いところですね。


将来、不妊になってしまうリスクを考えると、疑わしい時には出来るだけ検査を受けるようにしましょう。


検査自体は、内診が必要になりますが、腟の奥の方を綿棒で拭うだけの検査ですので、痛みはほとんどありません。

また、婦人科医にとって「性病」はとてもありふれた病気ですので、「性病検査=はずかしい」という心配も全くいりません。


何か不安なことがあれば、まずは婦人科で相談してみてくださいね。

子宮内膜症で手術が大変だった時のお話

子宮内膜症というのをお聞きになったことのある方は多いと思います。

 

生理が重い原因として、子宮内膜症というのは非常に厄介な病気です。

 

私が勤務していた総合病院では、近くの開業医さんから手術が必要な患者さんを沢山紹介してもらうのですが、その中でも子宮内膜症の患者さんの手術は本当に大変です。

 

 

まず、子宮内膜症というのは、子宮の内側にある「内膜」という組織が、内膜とは別の場所に飛び散ってしまう状態のことを言います。

 

その飛び散った「内膜」の組織が、生理のたびに出血したり、痛み物質を出したりするため、生理がとても重くなってしまうのです。

 

 

「内膜」組織が卵巣で育ってしまうと、卵巣が腫れてしまい、

 

内膜症性嚢胞(のうほう)

 

と言ったり

 

チョコレート嚢腫(のうしゅ)

 

と言ったりします。

 

一昔前では、宇多田ヒカルさんや松浦亜弥さんが、この病名を告白されていたかと思います。

 

 

そして、「内膜」組織が、子宮の壁の中で育ってしまい、子宮の壁が分厚くなってしまう状況を

 

子宮腺筋症

 

といいます。

 

 

これらは完全に独立した病気ではなく、どちらも存在することも多いのです。

 

そして、こういった子宮内膜症があると、お腹の中で

 

癒着

 

というものを起こします。

 

これは、もともとくっ付いてなかった子宮、卵巣、腸がペタペタとくっ付いてしまい、さらなる生理痛の強さに繋がるのです。

 

これが進むと、排便の時に痛くなったり、性行為の時に痛くなったりもします。

 

 

ここまで進んでしまうと、本当に手術が大変になります。

 

癒着というのは時間が経てば経つほど硬くなってしまい、簡単には剥がせないのです。

 

両手でグッと引っ張っても、癒着部分が剥がれるのではなく、正常な組織の方が裂けるくらい、硬くなってしまいます。

 

 

そのため、くっ付いている腸を剥がす時には細心の注意を払いながら、剥がしていくのですが、、、

 

どうしても「硬い」癒着より、「柔らかい」腸の方が避けてしまうことがあるのです。

 

避けてしまう腸の場所にもよるのですが、場所が悪いと「人工肛門」と言って、一時的にお腹の上に腸を出して肛門を作り、そこに付けた袋に便が出てくるようにして、退院後は自分で袋を交換して便の処理をしないといけなくなります。

 

もちろん、一生そうなるわけではなく、ある程度落ち着いた時点で、お腹の外に出していた腸を戻すのですが、その時にも入院が必要になるので、なかなか大変な経過を辿ります。

 

そういった手術を経験していると、本当に生理痛は放置しないで欲しい、と思うのです。

 

時折、生理痛がヒドイのに、超音波で何もないから大丈夫!と言われて困っている患者さんが来られます。

 

子宮内膜症は超音波では見えないこともある!

 

これだけは覚えておいて下さい。

 

上の方で説明した、卵巣の腫れや子宮腺筋症は超音波で見るとわかるのですが、そういった大きな腫れを作らないタイプの子宮内膜症もあり、それは超音波ではわからないのです。

 

もし、生理痛がひどいのに、超音波で正常と言われて、薬を何も出してもらえなかった方は、一度相談にいらして下さいね。

 

デリケートゾーンの痛みについて

デリケートゾーンの痛みについて、


ヘルペスやパルトリン腺


が原因になることがある、と以前説明しました。



これらは、診察すればすぐにわかりますし、どちらも繰り返しやすい病気なので、再発した患者さんだと、ご自身で


ヘルペスになりました


パルトリン腺が腫れました


と自己申告してくれることも多いです。



それ以外に痛みを引き起こす病気としてよくあるのは、毛穴にバイ菌が入ってしまう


毛のう炎


であったり、皮脂が溜まってしまう


粉瘤


というものが多いです。



その他には、カンジダがひどくなってしまいって、デリケートゾーンの皮膚が赤くただれてしまっている方も時々いらっしゃいます。


市販薬を塗っていたんだけど、全然よくならない、と言って来られる方の多くは、カンジダが酷くなってしまっていることが多いです。



どの病気も、診察をすればすぐにわかることがほとんどなので、あまり放置せずに、早めに受診してくださいね。

日本で一番暑い街

先週末は、子供の「行ってみたい!」という鶴の一声で


向井千秋記念子ども科学館


に行ってきました。


場所は


館林市



そう、真夏には全国ニュースで


38度


とかいう、ありえない気温をたたき出す街です。


そのため、脳内では


館林=暑い


というイメージが出来上がっているので、少し足が重かったのですが、まだこの時期はそこまで暑くはありませんでした。


(日なたを歩いていると、汗がにじみ出てくるので、頑張って日陰を探しながら歩きましたが・・・)




というわけで、


向井千秋記念子ども科学館


に行ってきたのですが、いろんな実験を体験できたり、とても大きなプラネタリウムが見れたり、子供は大満足だったようです。



個人的に一番面白かったのは


大西飛行場 - Wikipedia


の紹介でした。


大西勇一さんという一代で財を成した人が、「庭で飛行機を飛ばしたい」という理由から広大な土地を買って飛行場を作ってしまい、最終的には国から認められる飛行場になった、とのこと。


しかも、個人で飛行場を作り始めたせいか、滑走路が一般道路を横切っており、その交わる部分には遮断機が設置されていた、なんて今では考えられないような状況だったようです。


残念ながら採算が合わなくて潰れてしまったようですが、そのような飛行場があった、ということを知れて、とても楽しかったです。






もし、向井千秋記念子ども館に行かれることがありましたら、食事は近くのループカフェレストランがおススメです。

www.tripadvisor.jp


店内の雰囲気も落ち着いていて、前菜、メイン、デザート、焼きたてパン、1ドリンクがついて1800円くらい、メインの料理も新鮮な野菜たっぷりで、とてもヘルシーでした。


ちなみに、向井千秋記念子ども館から、おススメのループカフェレストランまでは、歩いて5分ちょっとなのですが、その間に館林市役所があり、そこには


日本一暑いまち館林市


という横断幕があります。


本当に暑くなってから見るとウンザリしそうなので、またそこまで暑くない内に、一度行ってみてくださいね。

イソフラボンの具体的な摂取量について

以前、イソフラボンと癌の関係はなさそうだ、というブログを書いたのですが、具体的にどれくらいのイソフラボンを摂取してもいいのか、調べてみました。


以前紹介したブログの中の論文では、1日のイソフラボン摂取量を20㎎、35㎎、60㎎の3群に分けて比較しているのですが、どの群でも癌との関係性は認められませんでした。


厚生労働省が発表しているデータでは、1日に食事から摂取するイソフラボンの量は大よそ20㎎程度、多くても70㎎程度と言われているので、通常摂取するイソフラボンの量では、まず問題ない、ということが言えます。


では、サプリから摂取するイソフラボンを加えると、どうなるでしょうか。


同様に厚生労働省が発表しているデータによると、、、


http://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-singi-isoflavone_kihon.pdf


1日に150㎎のイソフラボン錠剤を摂取し続けると、2年半では問題なかったのですが、5年継続すると、子宮内膜増殖症という子宮体がんに繋がる病変が増えてしまったのです。

また、1日に60㎎のイソフラボン錠剤を摂取するだけでも、生理不順になってしまいました。



以上の事から、食事とは別にサプリでイソフラボンを摂取する場合には、1日に30㎎程度の量であれば問題ない、という結果になります。



ただ、妊婦さんに関するデータが全くないので、妊娠中はあえてイソフラボンのサプリは摂らない方がいいと思います。イソフラボンの作用の一つとして、イソフラボンの量が多すぎると白血病を引き起こす可能性が指摘されているため、あえて妊娠中にサプリで摂る必要はないだろう、ということです。


以上、イソフラボンの摂取量についてまとめてみました。

もし、イソフラボンのサプリ摂取を考えている方は、参考にしてみてくださいね。